傷痕


「私ね・・・・・聞いてくれますか・・・・・。」
 フローラは僕が座っているベッドに並んで腰掛けた。目の前にはフローラの優しいエメラルドの瞳がある。僕達はじっとみつめあっていた。
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
 僕達はしばらく見つめあったまま何も言わずただそうしていた。そんな時でも僕には傷が疼く。時々この傷がむ・・・・・。
もしも僕がパパスが生きていて、ごく普通に君と会っていたら僕は君を愛する事が出来ただろう・・・・・。

 僕は一人のとき傷口を押さえる。そこには血も膿んで血が固まった物など何も無いのに・・・僕は傷口を押さえる。
診てもらった病院の先生はこう言っていた。「ファントム・ペイン」と。
そうか・・・・僕は・・・いまだに傷つけられるように、痛めつけられるように生きている・・・・。
 今度は何に苦しめられると言うのだろう・・・・。腕にある鞭の痕背中にある大きな傷痕、奴隷監督たちに面白半分で松明を押さえつけられたやけどの跡・・・ヘンリーも、マリアも知らない傷痕・・・・
そう・・・・・誰も知らない・・・傷痕・・・それは僕のようで・・・・・。
一人で・・・・・。

「私・・・・一人でした。誰も遊ばない、誰も話しかけようとしません・・・・。当たり前ですよね、私は・・・・一歩間違えてしまえばあの魔物と同じなのですから・・・・どんなに違うと言っても私は・・・・・。」
「フローラ・・・・・。」

そうか・・・・・君も一人だったのか・・・・・。
「アンディは・・・・・?」僕はたぶん一番聞いちゃいけない事を言ったのかもしれない。
「私の本性は知らないと思います。だから私はみんなに嫌われちゃいけないように心を閉ざしました。そうすれば誰も私に怒る人はいません。でもすぐに友人は離れていきます。それは私に同情していたから。だからみんな離れていくんです。
「フローラちゃんは明るいね。」、「フローラちゃんは優しい。」多分あなたもサラボナの町で
そんな事聞いたと思います。でも・・・・本当の私は・・・・どうでしたか・・・・。」
「・・・・・・・・あの時・・・・僕は・・・・君を見て・・・・僕は・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
「たぶん君と同じ錯覚になったんだと思う。一人で・・・苦しんで・・・誰もいない・・・分かってくれる人なんて・・・・いない・・・・本当は愛されていたいのにそれを拒絶して・・・・みんなに迷惑がかからないようにしている・・・・僕にはそう見えた。」
「・・・・・・・・・私も・・・・あなたを見て・・・・・何も言えなくなりました。同じだから。そう私はこの人と一緒に行くんだってわかったから・・・・だから・・・・・・。」
「フローラ・・・・・・。」僕はフローラの手を優しく握った。フローラは何も言わず僕の手をそっと握り返した。
 そして僕達は・・・・ずっとそうしていた。

 僕達は一緒のベッドで眠りについた。抱くような気分じゃなかった。僕にはまだフローラがまぶしく見えた。町の人たちはフローラの事を「白薔薇のフローラ」と呼んでいた。でも僕には優しさよりも悲しさが見えた。薔薇に触ろうとしても棘がある。そうして自分を守らないといけない。でも白い薔薇はみんなに見てもらいたいとする。誰も触る人などいないのに・・・・・・・。
それは心に壁や棘を張り巡らし、誰もいない世界を望む僕達のようだった。
 僕達は・・・・しばらく何もせずベッドでじっとみつめあっていた。不思議と旅の疲れは無かった。でも僕達は何もせずただ一つのベッドでお互いの暖かさを確かめ合っていた。
 その時だった・・・・・・。
「シオン・・・・・・・。私・・・・・・に・・・・・・。」フローラは震えている。
「どうしたの・・・・・・・?」
「私に・・・・・・・。」僕はフローラの肩に触ってみる。とても震えている。
「・・・・・・・・・・・どうしたの・・・・・・・。」
「私を・・・・・・抱いてください・・・・・・私に・・・・・・。」
「でも・・・・・それは・・・・・・・。」
「良いんです・・・・・・・少しでもあなたの暖かさが欲しい・・・・優しく私を抱きしめてください。心が満たされるように。」
「フローラ・・・・・。わかったよ・・・・じゃあ・・・・少しずつ・・・・・服を脱いでいこう・・・・。僕も脱ぐよ・・・。」
「・・・・・・・はい・・・・・・。」
 僕達はベッドの中で・・・・ゆっくりと服を脱ぎ始めた。フローラの二つの双丘が出てくる。でもフローラは隠そうとしない。僕も・・・・傷のある身体をフローラに見せた。僕達は何も言わなかった。
 そして・・・・下着だけになった。フローラの下着は可愛らしいデザインがあり、僕は優しく抱きしめていた。
 トクン、トクン、トクン・・・・・・・・・。
 トクン、トクン・・・・・・・。僕達はお互いの心臓の音を聞いていた。
「僕は・・・・・本当のフローラを見たのかもしれない・・・・・誰にも知れる事のない・・・・一人ぼっちのフローラを。」
「私も・・・・・シオンさんの哀しさ、空しさをどこかで感じていました。一人ぼっちのシオンさんを・・・。」
 僕達は無言で抱きしめた。

 僕は・・・・・フローラの下着を優しく脱いでいった。そしてフローラのまだ汚されていない秘所を舐めた。
「あっ・・・・・汚いです・・・・そんなところを舐めるなんて・・・・。」
「そんな事・・・・ないよ。可愛いよ。」
「そんな・・・・・・。あっ・・・・・うっ・・・・・・あっ・・・・・・。」僕はフローラが痛くならないように優しく舌を使って舐めあげた。その都度フローラからは嬌声が漏れる。僕は指を秘所に入れる。秘所は僕の唾液と愛液とで溢れていた。そして・・・・・・。
「あああ・・・・あああああっ・・・・・・ふふううう・・・・・・・シオン・・・・・・シオン・・・・駄目・・・・・。」
僕は秘所に指を入れながらフローラの口を奪う。
「うううう・・・・・ふふふふ・・・・・・・ううううんん・・・・・・・・・はあ、はあ・・・・駄目です・・・・・・。」
僕達の呼吸は荒くなっていた・・・・・。秘所はもうメチャクチャになっていた。僕はゆっくりと下着を取った。
「行くよ・・・・フローラ・・・・痛かったら・・・止めるからね・・・・。」
「・・・・・・・・・はい。」
 僕はフローラの手に導かれながらゆっくりとフローラの中に入っていった。
「うっ・・・・・・痛い・・・・痛い・・・・・・・。」フローラの瞳は涙で一杯になっていた。
「ご、ごめん・・・・・・・すぐに・・・・・。」僕はフローラから退こうとしたが・・・フローラの右手が僕を
掴んで離さない。
「フローラ・・・・・・。」
「私に・・・・・徴を下さい・・・・あなたという徴を・・・・。私は貴方の物という徴を・・・・。」
「わかった・・・・・・フローラ・・・・・君が欲しい・・・・・。」
「はあ、はあ・・・・・・良いです。貰って下さい、私を。」
 僕はゆっくりとフローラの中に入っていった。フローラは僕から逃れようとしたが僕は壊れやすいフローラの肩を
抱きしめた。フローラも僕に応えるように強く抱きしめ、僕達はキスを交わした。
そして・・・・・・・何か破れるような感じがして・・・・フローラの股のところから純潔の証が流れ、シーツに紅い染みをつくっていった。

「もう少し我慢して・・・・あと少しだから・・・・。」僕はフローラの奥に入っていった。
「あと・・・・少し・・・・・・。」
「はあ、はあ、はあ・・・・・・・我慢します・・・・・離さないで・・・・。」
 僕達は・・・・・・交互に指を絡ませた。
「じゃあ・・・・・ゆっくりと・・・・・痛かったら・・・・・。」
「ええ・・・・大丈夫です・・・・・シオンだもの・・・・・私信じています・・・・。」
「行くよ・・・・。」ゆっくりと動き出した。

「ああああ・・・・・・ゆふあああ・・・・・・駄目・・・・壊れちゃう・・・・・シオン、シオン・・・・・離しちゃ・・・・あああ・・・・・・駄目、駄目・・・おかしく・・・・・・シオン・・・・・シオン・・・・。」
「フローラ・・・・・フローラ・・・・・僕の物・・・・・・誓うよ・・・・。」
「ええ・・・・・誓います・・・・私は貴方の物です・・・・だから・・・離れません・・・・シオン、シオン・・・。」
 その都度僕達は激しく抱き合い、求め合った。
「フローラ・・・・僕の物・・・・・。」
「シオン・・・・・私の物です・・・・・だから・・・・・。」お互いの口からは唾液が溢れ、僕はフローラの唾液を
吸い取った。そしてお互いの唾液をゆっくりと飲み干した。
「駄目・・・・・駄目・・・・・・もう・・・・そろそろ・・・・・。」
「フローラ・・・・・・フローラ・・・・・。」僕達は・・・・・・何か力が抜けるような感じがして・・・・・・。
「あああああ・・・・・駄目です・・・・・・・ああああああ・・・・・・・はあっ、はあっ・・・・シオン・・・・。」
「フローラ・・・・・はあ、はあ・・・・・はあ・・・・・・。」
そして僕達は激しく痙攣した・・・。僕は・・・・フローラの身体の奥に・・・・・熱き想いを・・・・・注ぎ込んだ。
「あああ・・・・・・入ってきます・・・・・これで・・・・私も・・・シオンと同じように・・・。」
「僕と・・・・・・・・・・・・?」
「そう・・・・・・私も傷ができたから・・・・・・でもそれは聖痕と同じなの・・・・私達の・・・・・。」
 僕達はベッドの中で繋がったまま抱きしめていた。僕たちは・・・・本当に・・・・一つになった・・・・
「ねえ・・・・・このまま・・・・・・・でいてくれます・・・・か・・・・。」
「ああ・・・・・ずっとこのままだし・・・・・僕は君さえいれば・・・・・。」
「嬉しい・・・・・。」僕達は・・・・・繋がったまま抱き合いながら深い眠りに落ちていった。
 そう・・・・・僕達は・・・・・ずっと・・・・・側にいる・・・・ずっと・・・・何があっても・・・・・。
(終わり)



戻る