真夏の夜の夢

勇者アランとそのパーティーは、やっとのことでイシス王国の王都に到着した。暑い裁
くでの行軍は仲間たちを著しく疲労していた。
「はあはあ……やっと着いたね」
アランは今年で一六歳になる。まだ子供っぽいところがある少年だが、彼はなかなかの
剣の使い手でもある。勇者オルテガの一人息子だ。
「喉渇いたわ……もう……」
不満そうに言ったのは、エミリアである。白い服に空色のマント、それに額にあるサー
クレットは彼女が賢者である証拠だ。
「とにかく、今日はもう遅いから、女王に謁見するのは明日にしましょう」
エミリアの隣にいるのは、クルト。背の高い、落ち着いた感じの青年である。彼もまた
賢者で、若い身でほとんどの魔法を使うことができる。エミリアは賢者になったばかりな
ので、まだ多くの魔法は使えない。
「ふう……もう眠いよ……」
アランの隣にいたのは、商人コレット。男子としては背の低いアランより二インチほど
低い。彼はまだ成長中なので、これからコレットを飛び越すだろう。
「じゃあ早く宿屋を見つけよう」
アランたちは城下町に入った。夕暮れ時で、空にはうっすらと星が輝きはじめていた。

イシスの城下町で宿を取ると、仲間たちはそれぞれの部屋へと別れた。いつもなら宿代
節約のためになるべく大部屋を取ったり、男女で二つづつ部屋を借りたりしていたが、長
旅で疲れていたこともあって、それぞれ個室を取ることにした。
エミリアは水色のマントを脱ぐと、ふう、と溜め息をついてベッドに腰かけた。彼女は
今年で十八になる。身長は約一五○センチほどで小柄だ。水色の髪は長く、腰まである。
小柄な割には身体つきはなかなか大人びている。
彼女が着る白い服は、賢者の服という伝統の衣服である。女賢者の証でもあり、賢者と
して認められた者しかこの服を着ることは許されていない。
細い腰は、冒険者に相応しくないぐらいにか弱そうに見えた。そして、短い裾から白く
て美しい素足がすらりと伸びている。
膝から下は、踝の部分でしわのある靴下を履いていた。細い脚と対象的で、より彼女を
可愛らしく見せている。
靴を脱いで、エミリアは着替えもしないでベッドに横たわった。その身体の微妙なライ
ンは、エミリアも密かに自慢にしていた。身体もそれ相応に熟している。
その時だった。ノックがした。
「はーい、誰?」
エミリアは億劫に感じつつ、答えた。
「僕だ。クルトだ」
「あ、クルトなの?」
「ちょっといいかな?」
エミリアはがばっと起き上がった。
「いいわよ。入って」
クルトが扉を開けて入ってきた。身長一八○センチもある長身の青年で、その表情には
少年の面影がかすかに残っているが、賢者としての経験は彼の方が上である。エミリアは
かねがね、彼から賢者としての心構えなどを聞きたいと思っていた。
クルトはなかなか、いい男だった。いい男といっても、男の子といった方がいいかも知
れない。ちょっと年上のお姉様が可愛がるタイプだ。
とはいえ、クルトは女性経験の方は豊富だった。真面目そうだが、年相応に女性の身体
が欲しくなることもあるし、アランと出会う前に旅をしていた頃は、冒険者の女と甘い一
夜を過ごしたこともしばしばだった。そのほとんどは、恋人としての関係ではなく、一回
きりか、数回きりの関係で終わったが……。
賢者といっても二十歳の男性でしかないし、意外にも賢者はそういう方面の戒めが厳し
くない。
クルトはエミリアを見て、少しだが照れたような表情をした。
「ごめん。休んでた?」
「ううん。そんなことないわよ」
エミリアは勝ち気そうな笑みを浮かべた。彼女はこうみえても、結構気が強い。
「何の用なの? クルト」
「あ、うん。色々と話したいことがあって。同じ賢者として……ね」
「ふふっ。クルトの方がわたしよりも先輩だもんね。わたしも前から色々と聞きたいこと
があったのよ」
「座ってもいいかい?」
「ええ、いいわよ」
エミリアは大人っぽい口調で言った。そして、クルトは小柄な女の隣に座った。
「で、なによ?」
「その……エミリアのこと、色々と知りたくて……」

「?」
エミリアはきょとんとした。クルトは何が言いたいのだろうか?
一方、クルトは胸の鼓動が高まりつつあった。初めて女を知ったのが十五の時。それ以
来、数人の女性と経験してきた彼も、今はまるで童貞みたいだった。
「クルト……どうしちゃったのよ。いつものあなたらしくないわよ?」
「あ、うん……」
「言いたいことがあったら、バシっと言っちゃいなさい」
エミリアはまるで、クルトの心の奥底を見透かしているようだった。彼はドキマキした
が、そうか……だったらその通りにしよう。心のわだかまりが、彼を自棄にしていたのか
も知れない。
「エミリア」
クルトが隣に座る彼女を見据える。
「なによ?」
エミリアが彼の顔を見つめた。
「好きだ」
しばらくの間、二人の間に沈黙が降りる。
「クルト……」
「ルイーダの酒場ではじめて会った時から……好きだったんだ」
エミリアは、実はクルトの好意に気付いていた。アリアハンを出てから数日後ぐらいか
らか、クルトはまだ仲間になって打ち解けたとはいえないエミリアに親切にしてくれた。
クルトが心を開いて、気にかけてくれたおかげで、エミリアも次第にアランやコレット
といったほかの仲間たちとも心を開くようになった。
「どうして? わたしのどこがいいの?」
エミリアは聞かずにいられなかった。
「うん……」
クルトは頷いただけで、何も言えなかった。人を−−異性を好きになるのに理由なんて
あるのだろうか?
そして、もう一つの彼なりの理由は……口が裂けても彼女にはいえない。それは、エミ
リアはクルトの母親に似ていたからだ。
クルトの母親は、彼が十一歳の頃に死んだ。それまでは母子で旅をしていた。しかし母
はその旅先で病気になってはかなんでしまったのだ。
エミリアは母親の面影があった。クルトの少年の頃の記憶がふと甦る……。
「理由は分からない……でも好きなんだ」
彼は嘘をついた。好きは本当だが……理由は違った。
母親の代わりだと思われたら、彼女は自分のもとから永遠に去ってしまうような気がし
た。今はまだ、言えなかった。
「クルト……わたしのこと、本当に好き?」
「ああ……」
「わたしも……好きよ、クルト」
クルトは大きく目を見開いた。
エミリアもまた、クルトに親近感を持っていた。最初こそは恋愛の対象ではなかったが
クルトとは同じものを持っていると感じていた。
真面目そうだが、その奥底では、同じ孤独さを持っていると思った。そして、エミリア
もまた、クルトと同じように小さい頃から旅を続けていた。故郷を持たなかった。
エミリアはふっと、目を閉じた。クルトにはそれが何か、よく分かった。
ここから先は理由はいらなかった。孤独な男と女。
クルトはそっと、小柄なエミリアの肩を抱いて、唇を重ねた。エミリアは即座に反応し
て、舌を入れてきた。
クルトもそれに答えるように、舌を絡ませる。二人の唾液が混ざりあい、くちゅ、と音
がした。互いの舌が絡み合い、その感触がとても気持ち良かった。
彼女の唾液はほのかに甘かった。クルトは感触と味覚に、身体の芯に陶酔感を覚え、か
すかに勃起した。
クルトもエミリアもそういうことには慣れていて、戸惑うことは一切なかった。求めれ
ば相手から反応が返ってくる。
−−エミリア……僕と出会う前に……。
クルトはふと、そんな考えがよぎったが、彼女の過去は特に気にならなかった。
しばらく、互いの舌触りと唇の感覚を楽しんだ後、二人の繋がりは一旦断たれた。
二人の視線が合わさる。
「わたしみたいな女でもいいの?」
エミリアはそっと訊いた。自分は処女じゃない。男を知っている。そういう意味で。
「じゃ聞くけど、僕みたいな男でもいいの?」
クルトが微笑みながら言い返すと、二人してくすくすと笑ってしまった。
「案外、クルトって面白いのね。真面目なだけじゃないんだ」
「エミリア……好きだ……愛してる」
そして、二人の表情が堅くなった。エミリアは一瞬迷った。彼女は処女ではなかったが
かといって……そう簡単に身体を許すほど軽い女ではない。
若い男というものは……抱く女は、好きな女は処女がいいと思い込んでいる。でもクル
トは違うようだ。彼も女性経験があるのだろうと思った。
だったら話は早い。遠回しな愛の言葉や、それまでに至る経緯は必要なかった。
二人はベッドの上で抱き合った。長いようで短い時間の後、クルトはエミリアを白いシ
ーツの敷かれたベッドに横たえた。
クルトはそっと、白い賢者の服を胸元から剥くように脱がした。胸元が大きく開いてい
る服なので、そうなってしまう。
ぷりん、と弾力のありそうな乳房が、空気に触れる。乳首はこしゃまっくれたようにツ
ンと上を向いている。エミリアの性格を表しているような乳房だった。
「あ……」
クルトは優しく、乳房を手の平で包み込んだ。そして、そっと揉んだ。優しい愛撫だっ
た。
「あん……くすぐったい」
エミリアは喘いだ。クルトはそのまま、淡い桃色に染まった乳首を含んだ。最初は唇で
乳首を愛撫しつつ、そして果実の甘みを楽しむように、舌で包み込み、ねぶった。
「あ……ああっ!」
エミリアの喘ぎは、身も心も成熟した女のものだった。身体の芯がぽっと熱を帯び、秘
所が露で湿ってきた。
エミリアはもじもじして、脚を擦り寄せてくる。
「わたしも……」
「うん……」
二人は位置を替えた。エミリアが起き上がり、クルトはそっとズボンと下着を脱いだ。
下着を降ろすと、クルトのものは大きく屹立し、生命力をたたえていた。
「腰掛けて」
クルトはエミリアの言う通りにした。クルトは下半身裸のまま、ベッドに腰掛ける。エ
ミリアはベッドから降りて、そして彼の太腿に手をかける。
エミリアは革の手袋を脱いで、白魚のようなしなやかな手の平で彼女はクルトの男芯を

軽くしごいた。芯から腰に、ぴくんっ、と電撃が走る。
そして、その後、エミリアの頭がクルトの股間に収まった。彼女は男芯を口に含んだ。
まずは先端部を優しく舌で愛撫した。
「うあっ」
クルトは悶えた。エミリアの長い髪がまだ彼女の口に包まれていない部分や、玉袋をち
らちらとくすぐり、新たな快感が芽生える。

くちゅくちゅ。

エミリアは先端を充分に舐めた後、残りの部分を口の中に収める。亀頭部を歯で撫でる
と、クルトは大きく腰を浮かせてしまう。
「エミリア……」
エミリアの攻勢はまだ続く。手で玉袋をそっと撫でた。
「ふうっ!」
クルトの男芯は太くて、長かった。エミリアはふうふう、と鼻息を荒くして、口全体を
使って愛撫した。
唇で男の堅い芯を撫で上げ、亀頭部を舌で包み込む。時たま歯で軽く全身をつつ、と撫
でる。
クルトはエミリアの暖かい口の中で、大きなうねりを感じて、顔をしかめた。今まで、
数人の女性が自分の男芯を口に含んで愛撫してくれたが、エミリアの舌使いは絶妙を極め
た。
そして、エミリアは大きく男芯を吸った。クルトは耐え切れなくなり、腰部から芯にか
けて刺激が走り−−果てた。

どくどくどくっ。

腰部が震えて、亀頭部の先端から白濁した精がエミリアの口の中に奔走る。彼女は咳き
込むことなく、それを舌で受け止め、飲んだ。
少し苦い味がして、初夏の頃に繁る若葉のような匂いが広がる。エミリアは男芯から口
を離した。
しかしクルトはまだ果て切れておらず、男芯がぷるぷると震えて、残っていた精が先端
から放たれ、エミリアの顔にかかってしまった。

どぴゅどぴゅ。

クルトは尻の穴をヒクヒクさせた。これほどの快感を味わったのは、とても久しぶりだ

った。これほど豪快に精を出したのも久しぶりだった。アランたちと出会ってからは一度
も女体を抱いたこともなかったこともあったのだろう。
「あ……ご、ごめん!」
クルトは慌てた。しかしエミリアは頬についた彼の白濁した液を手に取って、遠慮がち
に舐め取った。
「うふ。苦いね」
「エミリア……」
クルトはそんなエミリアの仕草を見ていると、とても彼女が愛らしくなってしまい、彼
の男芯が再び充血した。一度精を放ったとはいえ、まだ二十歳の青年である。若さと本能

が求める欲求で、すぐに回復してしまう。
エミリアはベッドの上に戻った。
「僕も……エミリアの見たいな」
「馬鹿……」
エミリアは頬を赤くした。
「いい?」
まるで子供の仕草だったが、クルトが求めると何故かいやらしく聞こえない。彼の正直
さが出ているのだろう。エミリアはたまらなく、彼のそういうところに惹かれた。母性本
能をくすぐるのだ。
「いいわよ。好きにして」
エミリアはそっと、短い裾をたくし上げた。シンプルな白のショーツで、彼女らしい趣
味だった。
彼女はするっと、ショーツを脱いだ。
そして、クルトの身体の上に、腰をクルトの顔に向くようにのしかかった。エミリアの
目の前には、クルトの股間がある。
エミリアの桃の割れ目は、淡い桜色だった。それは、淡い産毛に包まれていて、ほとん
ど覆われていない状態だった。
クルトはそっと、桃の割れ目に、舌を入れた。
「きゃあっ!」
エミリアのゆったりとした細い腰の線が震える。クルトはさらに、舌を差し込んだ。同
時に、奥から蜜が溢れ出した。クルトの男芯を口で愛撫している時、少しだが自分で亀裂
をいじっていたからだった。
蜜はうっすらと甘しょっぱく、果実の味がした。舌はさらに割れ目の中へと入り込み、
柔らかい襞を撫でた。
「あ……ああっ!」
エミリアは声を上げた。あまりの気持ちよさに、彼女は腰を上げようとしたが、クルト
が腰を抱いて、放さなかった。
「あ……あんっ、いじわるぅ……」

いつもは気の強いエミリアも、今は弱々しく、クルトの上でよがっている。鈴を鳴らし
たような声も枯れ気味で、よりクルトを刺激した。
「ん……んふぅ……」
かすかに鼻息を立てて、エミリアはピクピクと腰部を震わせた。どぱっ、と桃の割れ目
から、果実の蜜が溢れる……。
「も、もう……」
クルトはそっと、舌を桃の割れ目から放した。舌を離す時、肉襞がまとわりついた。
「……いい?」
「うん……きて……クルト」
クルトはエミリアを抱きかかえて、ベッドに横たえた。
「服は?」
「いやよ……いますぐ……おねがい」
エミリアはまだ賢者の服を着たままで、ショーツは片方の踝に絡まっていた。踝の部分
でくしゅっとさせている白い厚手のソックスもそのまま履いている。
「いいの?」
「我慢できないわよ……はやくう」
クルトも上着の白いシャツを着たままだった。しかし、その場の雰囲気で服を脱ぐこと
はできなかった。
服をまだ身につけていることも、二人の興奮に拍車をかけていたのかもしれない。
エミリアの肢体に、逞しいクルトの身体がのしかかる。男用の賢者の服を着ているので
分からなかったが、彼の身体は筋肉で引き締まっていた。
長年の旅が、彼の身体を鍛えさせたのである。エミリアの白い肢体は、逞しいクルトの
身体に触れると、大きく反応した。
クルトは小柄なエミリアの身体にのしかかり、少し戸惑っていた。あまりにもはかなそ
うな身体つき−−胸部や腰部の線は無論、成熟した女のそれだった−−は、少しでも乱暴
に扱えば壊れてしまいそうに思えたからだ。
まるで白磁でできた幼い女の人形のようで……それでいて、女の色香を充分に備えてい
る。クルトは極力優しく、力を入れないように彼女を愛撫する。
クルトの逞しく、堅い腹筋とエミリアの細く、なめらかな腰が密着した。その感触にエ
ミリアは悶える。
「はあん……クルト」
「エミリア……」
二人は視線を合わせた。それは、許諾の合図であった。
クルトはそそり立つ男芯を何度か軽くしごいて、エミリアの短い裾をめくった。そこに
は、濡れぼそった彼女の桃の割れ目があった。
クルトはそっと、蜜の溢れる割れ目に、怒張する男芯を突き入れた。
「あっ!」
クルトは最初は亀頭部だけを割れ目の入口に入れて、止めた。彼女の肉襞が別の生き物
のように、先端を包み込む。
それだけで、クルトはえもいわれぬ陶酔感を覚える。亀頭部から、彼女の中の暖かさと
腰に彼女の感覚が伝わる。
エミリアは男を知っているから、そうしなくても充分なのだが、あえてクルトはじらす
ように、先端部だけちょっこっと彼女の割れ目に差し込み、腰を動かした。
「ああん……くすぐったいわよう」
エミリアは手を顎先に持ってきながら、よがった。ほんの前戯だが、クルトの女性に対
するデリケートな気遣いが優しかった。
そして、クルトは深く息をして、ゆっくりと自分自身をエミリアの中に埋めた。エミリ
アの膣はほどよく、熱い男芯を締めつけ、受け入れる。
「あっ……ああっ!」
「ふっ」
クルトはエミリアの腰使いに呻きそうになる。彼女の窒は男を受け入れる術を知ってい
た。しかし、長い間、男に触れてこなかったようで、締めつけ、襞がうねった。
エミリアはクルトの肩に手をかけた。彼はゆっくりと、腰を動かした。それに呼応する
ように、エミリアも腰をくねらせた。
「あっ、あっ、あっ!」
二人の腰の動きが序々に早くなる。エミリアは無意識に、脚をクルトの腰に絡みつかせ
太腿をこすりつけた。
エミリアの膣内は蜜で溢れ、襞はクルトの男芯をしめつける。中は暖かく、彼は芯から
伝わる快感に、腰を震わせる。
序々にしまりがきつくなってきた。クルトの息遣いが荒くなる。同時に二人の身体はう
っすらと汗ににじんだ。
「はっ、あっ!」
「エ、エミリア……」
クルトはさらにエミリアの膣に男芯を突き続けた。そして−−。
「あっ……ああっっっ!」
エミリアが大きく喘ぎ、クルトの背中に爪を立てる。背中から腰にかけて、大きなうね
りが襲った。
きゅっ、と膣が限界までうねり、締まった。蜜も洪水のように溢れる。クルトの男芯は
その激震に耐えることはできなかった。
クルトも男芯の先が熱くなり、何かが爆発したような感覚に陥り、腰が大きく震えた。
尻の穴がピクピクと痙攣して、彼女の腟内へ盛大に放った。

びっくんびくんっ!

クルトの男芯は、まるではじめて女を知った童貞の少年の物のように、大量の精を放っ
た。それほど、気持ちいい感覚だった。
男芯は今までになく、長い時間、快感に震えた。まるでエミリアの肉襞が絞り取ってい
るように思えた。
「ああっ」
エミリアもまた、クルトの巨根に打ちひしかれていた。これほどのものはなかった。我
を忘れて、彼女は叫び声に近い喘ぎ声を上げた。
「ああああっ、ああーーーっ!」
エミリアの膣は今までになくうねり、厚手の白いソックスを履いた脚をぎゅっと、クル
トの腰部を締めつけ、爪先がぴくぴくと、震えた。

二人の絶頂は長い間、続くように思えた。そして、二人を襲った波は序々に、退いてい
った。
「はあ……はあ……」
「ふう……」
二人は抱き合ったまま、ベッドの上で息をついた。そして、視線を合わせた。
「…………」
「なによ……」
エミリアはクルトは微笑んでいるのに、少し戸惑った。
「エミリア……」
「クルト……」
互いの名前を呟くと、そっと口づけをした。

それから、クルトとエミリアはベッドの上で仰向けになって、天井を見つめていた。ク
ルトは下半身裸、エミリアの衣服は乱れたままだった。
クルトはそっと、エミリアの方へ視線をやった。束の間の情事で乱れた賢者の服。
「どうしたの? クルト」
エミリアが気付いて、聞いてきた。そして、胸を張って格好をつけた。わざとクルトに

見せつけるためにそうした。
胸のはだけた上着、めくり上がりかけた短い裾に、そこから伸びる白く細い脚。踝には
まだショーツが絡んだままで、白い厚手のソックスが目立っている。
「エミリア……」
「なあに?」
エミリアは甘えるように言った。その声に、萎んでいたクルトの男芯が再びむくり、と
充血しはじめた。皮に包まれていた亀頭がめきめきとめくれた。
「何だか……いきなりでごめん」
「もう……何いってるの。いいのよ」
エミリアがふふふと笑う。
「愛に長い時間は関係ないわ」
「そうだね」
「でも……あなたとは、少しでも長い時間いっしょにいたいな」
「エミリア、僕もだよ。もっと、エミリアのこと知りたい」
「わたしも! まだ時間はあるわよね。ゆっくりと、お互いを知ることはできるわ」
あるていど異性との経験がある二人にとって、てっとり早い方法は、何度も愛し合い、
男女の交わりを持つことだった。
クルトは少しだが、はじめて、本当の意味で心から充足していた。エミリアはまだ分か
らないところの多い女の子だけど、うまくやっていけそうだった。
エミリアも同じだった。クルトは自分と同じ空気、雰囲気を持っている。少しだけ気付
いていたが、気があいそうだった。
男女の仲は、結局はそこにいきつく。気があう。そこから愛に転化させる。相手のこと
が好きなだけでは、双方の愛が成り立たない場合もある。
何よりも性の相性は抜群だと、互いに思っていた。これからの旅も長くなるし、それだ
け長い時間過ごすことが多くなる。すると、その面も大切な要素だった。
「ふふ、クルト」
エミリアは甘い声で、クルトの腰部に自分の白い太腿をこすりつけ、細い指をそそり立
つ男芯に触れて、軽くくすぐった。
「あう……エ、エミリア」
クルトは戸惑いつつ、彼女の悪戯に応えるように、小柄なエミリアの肩を抱き寄せた。
「まだ夜は長いわよ。もっと、あなたのこと知りたいな」
「僕もエミリアのいろんなこと、もっと知りたい」
「じゃあ……しましょ?」
「うん」
二人は再び、ベッドの上で熱く、重なり合った。愛で熱く燃える二人の軆は、窓から差
す月明かりに、そっと照らされていた。



戻る