I need you
初めての夜。
「あの・・・」
「ん、なんだ?」
「ヘンリーさまのこと、あなたって呼んでもいいですか?」
待ってました!一度そう呼ばれてみたかったんだよな。
「おおっ、そう呼んでくれるか、いいとも、いいとも」
「うれしい・・・」
マリアはうれしそうに微笑んだ。
「さ、こっちへおいで」
「はい・・・」
二人はベッドに腰掛けた。
「実は私・・・話さなければならないことがあるの」
「なんだい?言ってごらん」
「あのとき、奴隷になったのはお皿を割ったからじゃないんです」
「えっ?」
ぽつりぽつりとマリアは話した。
皿を不注意で割ってしまったマリアに、教祖イブールはそれを許してやることを口実に関係をせまってきた。
「いやです、そんな」
「そうか、いやなら・・・」
イブールはマリアにせまった。
「いやあっ!」
マリアは抵抗する間もなく、抑えつけられた。イブールはスカートをはぎ取った。右手がマリアの股に伸びてきた。
「それでそのまま・・・」
ヘンリーが聞く。
「いえ、その前に・・・」
「なんだそれは、それで抵抗したつもりか?」
「ち、違います・・・」
「許さんぞ、この女・・・」
「い・・・いやあっ!」
下着を破り取ったそのとき、コツコツとノックの音がした。
「入れ」
「報告、シールンとヘンリーの二人がまたもや脱走しようとしました」
「捕まえただろうな」
「はい、ただちに捕縛いたしました」
「重要な労働力だ、殺すにはおしい。牢に入れておけ。それからこの女も今日から奴隷だ。連れていけ」
「はっ!」
「それで私は奴隷に・・・」
「そうか・・・」
「私・・・学校でいつもいじめられてたんです・・・。みんなから仲間はずれにされて・・・。もう死にたいと思っていたころに・・・あの人の演説を聞いて・・・」
いつのまにか、マリアの目に大粒の涙があふれている。
「イブールのことか・・・」
「はい・・・。必ず幸せになれると言われて・・・でも本当は、そのときの状況から逃げ出したくて、教団に入ったんです・・・。逃げられるなら、なんでもよかったんです・・・ううっ、ぐすっ」
マリアは泣きながら、それでも話し続けた。
「いじめられることもなく、しばらくは幸せでした・・・。いや、そう思いこんでいただけだったんです・・・でも・・・現実を知って・・・教団をやめようかなと思いました・・・。でも、またいじめられるのがこわくて・・・だから・・・うっ、ううっ」
ヘンリーは目を伏せて聞いていた。
「お願い、嫌いにならないでください・・・」
マリアは涙声で、哀願するように言った。
「何言ってんだ、おれがその程度の男だってのか」
ヘンリーがちょっと強めの口調で言った。マリアはびくっと体を震わせた。
「何があったっておまえを嫌いになるもんか」
「・・・・・・」
「もうこわがることはないんだ。おまえのことはおれが守る。シールンにきたえられたんだ、何があってもおまえを守れるさ。おまえをいじめた奴は絶対許さない。おれがぶっ飛ばしてやる」
マリアはこみ上げてくる感情をおさえられず、声をあげて泣いた。
「ううっ、ぐすっ、ぐすっ、ヘンリーさま・・・」
「よしよし、もう泣くな・・・。おまえはいい子だ・・・」
二人はしばらく抱きあっていた。
「脱がせていいか?」
「はい・・・」
ヘンリーはマリアを静かにべッドに横たえると、マリアの服を脱がせ始めた。マリアは嫌がらなかった。恥ずかしくて怖くて、泣きそうになるのをぐっとこらえていた。
・・・泣いたりしたら、ヘンリーさまに嫌われる・・・
すぐにマリアは下着一枚になった。マリアはこの世のものとは思えないほど、美しい身体をしていた。
透き通るような白い肌、美しくくびれたウエスト、ガラスのように繊細な脚、それほど大きくはないが、形のいい胸。本当の聖母のように・・・。
聖母はヘンリーの視線に身体を固くしている。
「マリア・・・かわいいよ・・・」
「え、そんな・・・」
マリアは頬を染めて恥じらった。
マリアの金色に輝く髪の、甘い香りが、ヘンリーの鼻をくすぐった。彼はもう、我慢できなかった。マリアが欲しい、すべてが欲しい・・・。
へンリーはマリアを抱きしめると、指でマリアの割れ目をパンツの上からいじり始めた。指先に今まで感じたことのない感触が伝わった。
「あっ・・・ああっ・・・あうっ・・」
マリアの身体に電流が走った。
「ああ・・くっ・・ううっ・・・」
マリアはこれだけで激しく感じていた。目は潤んでいた。その時、マリアの身体にぞくっとした感覚が走った。
「ああっ・・だっ・・・だめ・・・」
ヘンリーはそれでもやめない。指を動かしながら、舌で割れ目をなめようと、顔を近づけたそのとき、マリアの身体が震え出した。
「ああっ、あっ、だ、だめ、で、出る・・・」
「!!」
マリアの腰のあたりががくがくと震えた。と、次の瞬間。
シューッ・・・下着に覆われた割れ目から噴水が噴き出し、ヘンリーの顔にかかった。愛液ではない。潮のにおい・・・あまりに感じすぎて、失禁してしまったのだ。
「マリア・・・だいじょうぶか?」
驚いたヘンリーは指を離した。顔は液体で濡れていた。
「ご、ごめんなさい・・・私ったら・・・おもらししちゃった・・・」
マリアは泣き出してしまった。
・・・わっ、どうしよ、泣かしちゃった・・・
「いや、おれが悪かった、つい・・・トイレ行きたいなんて言えないもんな」
ヘンリーは濡れた顔をふこうともせず、マリアをやさしく抱きしめた。マリアは彼の胸の中で泣いた。ヘンリーの身体は暖かかった。
「私、あのときも・・・強く触られて・・・出ちゃって・・・」
「そうか、ごめん、マリアのことも考えずに・・・最低だな、奴と同じだな」
ヘンリーはマリアにそっとキスをした。マリアの中を温かいぬくもりが走った。
「今夜はやめよう。一緒に寝るだけにしとこう。着替えておいで」
「待ってください・・・」
彼女は濡れたパンツを脱いで、そっとささやいた。
「私、がまんします・・・抱いて・・・抱いてください・・・」
マリアの口からこんな言葉が出るなんて、思ってもいなかったヘンリーはしばらく黙っていた。
「わかった・・・。でも、いやになったらすぐに言うんだよ」
「はい・・・」
「それと、したくなったら、がまんしないで思いっきりおれにかけていいから」
そう言って、ヘンリーは裸になった。
へンリーの巨大な肉棒が、マリアの目の前に立った。マリアは真っ赤になってうつむいた。
「マリア、やってごらん」
ヘンリーは子供に語りかけるように優しく言った。
「これを・・・どうするんですか・・・?」
「マリアの好きなようにすればいいんだよ。なめたり、吸ったり、握ったり」
「はい・・・」
マリアはおそるおそる、棒をなめ始めた。変なにおいがした。
「口に入れてみて・・・」
マリアは言われるままに、棒を口に入れるとチュッチュッと吸った。まるで赤ん坊が乳首に吸い付くように。
「もっともっと強く・・・」
チュッ、チュバッ、チュバッ、チュパパッ・・・また言われるままに強く吸った。ヘンリーの言うことならなんでも従いたかった。
「ああ、いいよ、マリア・・・」
ヘンリーの棒は快感に包まれていた。と、なにかがこみあげてきた。
「ううっ!」
いきなり、ドバッと液体を放出した。マリアは一瞬ビクッときたが、それでも液体を口から幾筋もこぼしながらも飲み込んだ。
「あっ、マリア・・・おれもおもらししちゃった」
・・・あ・・・私に恥をかかせないためにわざと・・・
ヘンリーのやさしい心づかいがマリアにはうれしかった。
「次はおれがやるよ」
「はい・・・」
ヘンリーはマリアを再び横たえた。彼女はまるでいけにえになったように全身をまっすぐ延ばしている。ヘンリーがそっとキスをしながら抱きしめる。ヘンリーはマリアの胸をゆっくりもみ始めた。マリアの身体が桜色になっていく。
「ああっ・・・うん・・・あっ」
「気持ちいい?」
「はい・・・とっても・・・」
こわばった表情で、マリアが答える。
・・・本当はいやなのに、無理しているのか。いやがったら、おれが気を悪くすると思って・・・
「マリア・・・実はおれ・・・女がこわいんだ」
ベッドの上にうずくまるようにして、声を震わせてヘンリーが言う。
「継母は・・・いつもデールばかりかわいがって、おれには冷たかった。ろくにかまってくれないし、たまに呼ばれてもイライラのはけ口にされるだけだった。おれは小さいころから勉強が大嫌いで、剣術のまねごとばかりしていたんだ。それをデールと比較されて、王室の恥だって言われてさ。継母だけじゃない、みんなそう思ってるような気がしたんだ。だから、同じことなら、とことん嫌われてやろうと思って、あの手この手のいたずらをみんなにしかけてたんだ。そしたら・・・今まで優しかった侍女まで、おれには最低限の言葉しかかけてくれなくなった。おれの悪口をこそこそ言っていたのを見たのも、一度や二度じゃなかった。でも、それから先はもう後戻りできなかったんだ」
ベッドの上に座ったマリアは、目を伏せて聞いている。
「だからおれ・・・マリアが・・・心を許せる初めての女だったんだ・・・。でも・・・本当はおまえもこわかったんだ・・・。それを認めるのは、男の恥だと思ったから・・・。だから・・・。おれは自分勝手で甘ったれだったんだ・・・え?マリア?」
マリアは胸の中に、ヘンリーを抱きしめた。胸の谷間に、ヘンリーの顔は埋まった。
「ヘンリーさまもこわかったんですね・・・私・・・傷ついているのは自分だけのようにばかり思ってて、ヘンリーさまのこと、考えていなかった・・・自分勝手で甘えていたのは私だったのに・・・」
マリアはヘンリーの頭をそっとなでた。
「マリア・・・」
「私・・・うれしいことも、悲しいことも、気持ちいいこともヘンリーさまといっしょにしたいの・・・」
マリアはヘンリーの右手を取ると、自分の胸に押当てた。指先がめりこむくらい、すごく柔らかい。鼓動が伝わってくる。
「私も気持ちよくなりたいの・・・こわいのはもう終わりにしたい・・・」
「うん、そうだ、こわいのはもうたくさんだ。だから・・・いっぱい愛してあげる」
やっと言えた、この一言が。
「マリア、好きだよ・・・」
「ヘンリーさま、好き・・・」
二人は唇を重ねた。舌を絡め、吸いあい、よだれを垂らしながら、えんえんとキスを続けた。
ヘンリーはマリアの唇から離すと、乳首に吸い付いた。
「あうん、ううっ」
マリアの身体にまた電流が走った。ヘンリーは乳首を吸いながら、マリアのふとももを、尻を、背中を優しくなでた。
「マリア・・・かわいいよ・・・きれいだよ・・・天使よりも女神よりも・・・」
ヘンリーのやさしい言葉にマリアは頬を染める。
「胸も、脚も、セクシーだよ・・・あんまりセクシーだから、ほら、こんなに大きくなっちゃった」
ヘンリーは自分の肉棒を指差した。すでにはちきれんばかりにふくれあがっていた。
「いやっ!」
マリアは顔を手でおおってしまった。
・・・いけね・・・調子に乗りすぎた・・・
「くすくすっ、ヘンリーさまのそんなところ、大好き」
マリアが笑った。
「やっと笑えたね」
二人はそっとキスをした。
それは、恥毛の生えていない、産毛だけの幼いつぼみだった。そこには液体が光っていた。
「私、まだここの毛が・・・恥ずかしい・・・」
「どうして?きれいだよ。毛深いより清潔な感じがするじゃないか」
ヘンリーはそのつぼみをなめ始めた。
「いや、そんな、汚いのに・・・」
「汚くなんかないよ。マリアはどこも汚くない」
つぼみは蜜と潮の混ざった味がする。
「やっぱり、おしっこは汚いから・・・」
「マリアのは汚くなんかないよ。聖水だよ」
「い・・・いや・・・」
マリアは半泣き顔だ。
・・・いけね、またすべった・・・
「やっぱりやめる?」
「い、いえ、もっと・・・なめて・・・」
ヘンリーはつぼみの突起をなめた。聖水でなく、愛液がわき出てくる。
「出そう?」
「・・・少し・・・」
「無理しないで。出しちゃっていいよ」
「いや・・・たれ流しなんていや・・・」
「見せてよ」
「・・・・・・」
「おしっこするとこ、見たい。そうだ、おれにおしっこかけてよ。顔にかけたっていいよ。いや、全身にかけてよ」
そのとき、マリアの心のバリアは完全に消えた。
「見えないけど、いいですか?」
マリアはヘンリーの上に、馬乗りになった。
「うん、いいよ・・・」
「出ますよ・・・」
チョロチョロ・・・小川のせせらぎのような音とともに、聖水がヘンリーの腹の上に広がっていく。
「ああっ・・・止まらないわ・・・」
「止めなくていいんだよ」
腹の上からこぼれた聖水はヘンリーの脇腹を伝い、シーツに染み込んでいった。体内に残っていた聖水を全部出したマリアはぶるっと震えた。
「ああ、気持ちいい。あったかくて」
「私も・・・恥ずかしいけど・・・気持ちいい・・・」
潮のにおいと、生温かい湯気がたちのぼる。
「いけないことしちゃったのに・・・どうして気持ちいいのかしら」
「いけないことだから、気持ちいいんだよ」
「いくよ・・・」
「はい・・・」
へンリーはマリアのヴァギナにペニスを突き刺した。
「大丈夫?痛くない?」
・・・痛っ、痛い・・・
「大・・・丈夫です・・・」
ずぷっ、ずぷぷっ、ずっぷっ・・・音が部屋に響く。
・・・ううっ、きつい、締まる・・・
「ほんとに大丈夫?」
「はい・・・気持ち・・・いい・・・」
そうは言っても、痛そうな顔をしているマリア。やめるか?でもやめたらマリアをかえって傷つけるかもしれない。せっかく勇気を出してヘンリーとつながろうとしているのに・・・。
「ああっ、全部、入った・・・締まるっ・・・」
「い・・・いい・・・」
マリアは痛い、という言葉を必死で飲み込んでいる。
「動かすよ・・・」
ヘンリーはゆっくり動きはじめた。
「あっ、ああっ、くあっ」
痛みと快感がマリアの体を交錯する。少しの間動くうちに、快感がふくらみ、次第に痛みは消えていった。
「ああっ、くぁあ、うん」
「マリア、すごい締まるよ・・・ああっ、もう出そうだ」
マリアの意志と関係なく、ヴァギナはヘンリーを締め付けて離さない。
「はあっ、あっ、わ・・・たし・・・も・・・あっくうっ・・・あああっ」
マリアは意識が遠のきかけていた。もう言葉にならない。
「・・・・・・」
「ぬうっ!」
大きく痙攣して、マリアは意識を遠くに飛ばしてしまった。と同時に、ヘンリーも液体をマリアの中へほとばしらせていた。
「・・・マリア!おい、マリア!」
その声で、、マリアは我に返った。
「ごめん、おれ、早くて・・・その上、失神させちゃって」
「そんな、私、すごくよかった・・・」
「そうか・・・おれもよかったよ・・・好きだよ・・・マリア・・・」
「私も・・・ヘンリーさま・・・好き・・・好き・・・大好き・・・」
マリアはしばらく汗のにおいのするヘンリーの胸の中で、泣き続けた。
それは、さっきとは違う、温かい涙だった。
翌日・・・。
侍女とマリアが、洗濯をしている。
「あら?シーツにしみが・・・」
「え?」
侍女がつまみあげたシーツには大きな「世界地図」がついていた。それを見たマリアの頬は赤く染まった。特別製のシーツだから、すぐにヘンリーとマリアの寝室のシーツだとわかってしまった。
「こ、これはその、あの、ち、違うんです・・・」
「え、あの、その、ず、ずいぶん、おはげみになられましたね」
二人はあわてふためいた言葉を交す。
「ごめんなさい・・・これ、私なんです。これじゃおねしょみたい・・・私って最低ですね」
マリアが縮こまって言う。 本当に、おねしょが見つかった子供のようだ。
「と、とんでもありません!決して皮肉のつもりでは・・・。ヘンリーさまとマリアさまの初夜の証しのついたシーツを洗えるなんて、なんと名誉なことでしょう!」
とフォロー、いや、言い訳にならないような侍女の言葉に、マリアは恥ずかしそうにうつむいてしまった。
ここは城の物干し場。マリアが侍女に混ざって、洗濯物を干している。
「マリアさま、それは私たちがやりますから・・・」
「いいんです、私、暇ですもの・・・」
その働く姿は、とても輝いている。今でこそ影をひそめているが、ちょっと前までは、太后にこき使われ、明日の命も知れない地獄の毎日だった侍女たちにとっては、ほんとうに女神のような存在だ。
「よう、元気に働いてるね」
ひょいとヘンリーが顔を出した。
「あら、あなた・・・」
「やっとあなたって言ってくれたね」
いきなりヘンリーはマリアの頬にキスをした。マリアは真っ赤になって顔を隠してしまった。
侍女たちのキャーキャーとはしゃぐ黄色い声が響く、穏やかな昼下がりのラインハット城だった。
君はそんなに弱くはない
君と歩いてゆける
どんなつらいこともいつか思い出にできる
君のすぐそばにいてあげる
僕が味方になろう
どんな遠回りもいつか行き先が見える
人は誰でも胸の中に風が吹いてるものさ
そこにしゃがみこんでいないで
風を受けようよ
風を受けようよ・・・
室井 滋『風よ』より
おしまい
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