心の瑕
蒼い満月の中、二人はベッドの上で抱き合っていた。そして・・・・・・・・・。
「あうううう・・・・・・うっ。」フローラと呼ばれた少女が甘い吐息を漏らす。
そして受け入れているシオンと呼ばれた少年がゆっくりと離れる。
「はあ、はあ、はあ・・・・・・。」生まれたままの姿のシオンは
同じく生まれたままのフローラにキスを交わす。
「はあ、はあ・・・・・・。」フローラはしばらく秘所を少年に見せたまま
今まで激しく愛し合っていた少年を優しく、慈愛のある瞳で見つめていた。
それは少年も同じだった。二人とも慈愛のある瞳で見詰め合い、
ゆっくりと少年の手が少女の頬に優しく触れる。
「あっ・・・・・・・。」
「良いから・・・・・・・。」少年の手に触れたフローラは顔が赤くなった。
「触って・・・・とても暖かい・・・・・。」
「僕も・・・もっと・・・・・。」
「あっ・・・・・・駄目・・・・・・。」フローラは恥ずかしくなって顔を伏せてしまった。
そう、シオンとフローラの混ざった白い愛液が穴が空いたようになっている
フローラの秘所から溢れ出してきた。そしてシーツを汚していった。
「駄目です・・・・・私・・・・・・。」フローラは涙を潤ませ、恥ずかしがっていた。
「綺麗だよ・・・・・・。」
「私、私・・・・・・・・・。」
「分かっている・・・・・・・分かっているから・・・・。」シオンは優しくフローラを抱きしめた。
「でも・・・・・。」
そして・・・・またグチョという音とともにシオンのがフローラの中に入っていった。
「あっ・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・もっと・・・・・・君の中にいたい・・・・・・。」
「私だって・・・・・・・・もっといたいんです・・・・・貴方と共に・・・どんな事があろうとも・・・
ずっと一緒です・・・・。」そう言ってフローラはシオンを迎え入れるように両手を広げた。
「フローラ・・・・・。」
「シオン・・・・・・・・・。」
二人は抱き合いながらベッドに倒れこみ、闇へと落ちていった。そう二人しかいない夢の世界へ・・・・。
少年は少女の優しい瞳で目が醒めた。
どうやら繋がったまま眠ってしまったようだった。シオンの手には交互に絡めたフローラの手が
しっかりとお互いの絆を確かめるように握っていた。
「おはよう・・・・・・。」
「おはよう御座います・・・・・・・。」
シーツの中、二人は抱き合うように目を覚ました。
「よく・・・・・眠っていたみたいですね・・・・・・・。」
「うん・・・・・君は?」
「私も・・・・・・良く眠れました・・・・・。こんなに眠ったのは・・・久しぶりです・・・。」
「僕も・・・・・・・・。暖かいんだ・・・・心が・・・・とても・・・・。」
「私もです・・・・・・うううっ・・・・・・。」少女の瞳から大粒の涙が溢れた。
二人はまだ起きない。ただお互いの暖かさを知りたくて、お互いを理解し合える者を慈しむように
見詰め合っていた。二人がいた世界があまりにも人間が住むには酷い世界だった。
一人は奴隷として、生きる目的すら失う世界であるが為に親友にも
見せない黒い感情を持った少年であり、もう一人は運命という物に押しつぶされてしまい
心が欠けてしまった少女であった。
二人に共通して言えるのは本当の両親の、温かみを一時期知らないで育ったと言う事にあった。
事実を知ってしまった事、知らなくても良いのに・・・知ってしまった事・・・・それらは
二人にとって・・・・・・・・より過酷な運命となって・・・・二人を押しつぶしてしまった。
心がどこかに無くなり、心がどこかに失せ、どこか冷たい印象を与える者として
一人は酒場でのトラブルにも平然とし、一人は仮面を被って生きることを強いてしまった。
その感情を知っていたのはごく僅かの親友であり、二人についた「心の瑕」だった。
だからもっと寄り添いたい・・・・もっと・・・暖かくして欲しい・・・・・・一人じゃ嫌・・・・でも一人でいたい・・・・・・
それらが二人をつき動かしていた・・・・・もっと・・・・もっと・・・・・・知りたい・・・・もっと暖かくして・・・・・・・・・
一人じゃ・・・
嫌なんだ・・・嫌なの・・・・・・・・知りたくない・・・・でも知りたい・・・・・・・もうパパスの・・・ルドマンの・・・・僕達
は・・・
操り人形じゃない・・・・・・・でも・・・・・そうしなきゃ・・・・僕達は・・・何も出来ない・・・・・。
「どうしたの・・・・・・。」シオンはふとフローラがこっちを見ていたことに気がついた。
「シオン・・・・・・さん・・・・・。」フローラはシオンの胸元で頭を寄せている。だがフローラの目の前に
奴隷時代についた傷がある。
「痛いですか・・・・・。」目に涙を潤ませたフローラがじっとシオンを見つめている。
「ううん・・・・・。」
「それなら・・・・・・。」フローラはゆっくりとシオンの胸元の傷に口を寄せると舐め始めた。
「可哀想なシオン・・・・・私が癒してあげる・・・・・・。」
フローラは泣いていた。まるで自分のことのように・・・・・。
「僕は・・・・・・・・大丈夫・・・・・。」
「いえ・・・・貴方は嘘をついています・・・・・。本当は救われたいのに・・・・自分が・・・・
救われたいのに・・・・・・いつも他の人のことを・・・・・・。だから・・・傷に・・・・。」
「君だって・・・・・・・。」シオンはフローラを強く抱きしめた。
「あっ・・・・・・・・・・・くううん・・・・・・・。」彼女の膣内にあるシオンのがフローラに甘美な
感情を与える。
「シオン・・・・・・さん・・・・・・私・・・・・・・・。」
「大丈夫・・・・・分かっている・・・・・・分かっている・・・・・。」
二人はお互いを強く抱きしめた。シオンの手が、フローラの手がお互いの髪に触れる。そして強く
抱きしめる。
「ううっ、うっ、ううん・・・・・・。」
「はあ、は、ああ・・・・・・・・・・。」二人はより快感を得ようと激しく動く。フローラの形の良い二つの
双丘が上下に動き、より激しく動いた。そして・・・・・・・。
フローラの中を・・・・・フローラのお腹を優しく・・・・シオンの暖かい愛液の迸りがフローラの子宮を
激しくうちつけるかのように注ぎ込んだ時、フローラはシオンと共に果てた。
二人しかいない夜もいつかは日が昇る時が来る。
それはきっと来る・・・・・・二人の手はしっかりとお互いの指に絡みあうように
しっかりと自分の存在を確かめるように握り締めていた。
(終わり)
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