青い誘惑

オラクルベリーで優しい高級娼婦イルマと初めての経験をしたウィルは、ポートセルミ
に到着した。この町は良港を持っていて、商業都市として栄えていた。人も世界中から船
と陸路の双方から集まり、その賑やかさはオラクルベリーに勝るとも劣らなかった。
ポートセルミの町並みは、湾から吹きつける緩やかな潮風と、カモメの心地好い鳴き声
眩しい日差しがどれも爽やかに見えた。
ウィルはビスタ港との定期便から降りると、町に一番大きい宿屋へと足を運んだ。今日
は一日、長い船旅の疲れを癒すためだった。

「はあっ……あっ、あっ、あっ」
ベッドの上で、一人の全裸の少女がでっぷりと太った中年男にのしかかられて、あられ
もなく喘いでいた。
脂肪の塊のような男は、カクカクと腰を少女の股へと突きつけている。
「おおっ……いいぞ……クラリス……」
腰から突き上げるような快感に、中年男は息切れしながら言った。
「あっ、あんっ、あんっ」
クラリスと呼ばれた少女は、顎の辺りに手を持っていって、腰から伝わる振動と快感に
喘ぐ。男の腰の動きが早くなる。昂まりが、限界へと近づいていた。
頂点へ向かって突き上げるような昂まりに、クラリスは思わず脚の爪先をピン! と伸
ばした。
男が最後のひと突きをクラリスの蜜壷に向かって加えると、男の腰が震えた。尻の穴が
心地よい射精時の痙攣を感じて、亀頭部の先から白と半透明が混じった精液を容赦なく、
彼女の膣へと打ち込む。

どくっ、どくっ、どくっ!

クラリスも絶頂へ駆け昇り、腰を大きくうねらせた。渇いた膣が大きく痙攣して、中年
男の汚らしい男芯を包み込み、精液を絞り尽くす。
「うおおっ! いいぞ……」

ひくんひくん!

「あふん……」
クラリスは軽く溜め息をつくと、中年男は膣から萎えて、先端が皮に包まれた男芯を引
き抜いた。精液と熱い蜜が混じった粘液は糸を引いていた。
「よかったぞ……クラリス」
中年男は息を荒くしていた。クラリスはそれを見て、ふふん、と笑みを浮かべる。
「それじゃ、私は帰るからな」
男はそそくさと衣服を着始めた。クラリスは全裸のままで、その様子を見つめた。滑ら
かな肢体は、うっすらと汗をかいていた。かすかに、精液の匂いが鼻をついた。
「今度はいつ来るの?」
「一週間経ったらまた来る。家内が色々とうるさいものでな」
男は言い捨てると、彼女の前から去った。残されたクラリスはふう、と溜め息をつくと
全裸のまま、ベッドに横たわった。
そして、あの男との情事もそろそろ飽きてきたな……とかすかに思いはじめた。男好き
なのは、性分だから仕方ない。こうして、クラリスは男をとっかえひっかえして、男性遍
歴を重ねてきた。
初めての男は彼女が十七歳の時、三年前のことだった。以来、十人以上もの男をものに
してきた。その小悪魔的な魅力と、ポートセルミ一の売れっ子の踊り娘ということもあっ
て、いい男には不便しなかった。
クラリスは、様々な男たちに抱かれて、さらに女としての魅力に深みが出てきた。それ
が、二十歳という若さでポートセルミで一番人気の踊り娘としてのしあがった、一つの要
素だった。
女は男性遍歴を重ねることで、より美しく、より女としての魅力が増す。それがクラリ
スの持論だった。もちろん、ただ男ならなんでもいいわけではない。時には容姿の整った
男、また時には年下の童貞の少年や、自分の父親ぐらいの年齢の男とも経験してきた。
どれも男として、一人の人間として魅力があったからだ。今回のあの男も、町で有力な
商人で、生活力と金が、そのクラリスのお眼鏡にかなったのだが……。
だが、今回の男は少し失敗だったかも知れない。初めて抱かれてから一ヵ月余り、そろ
そろ別かれようと思った。
お金や地位は、男の魅力を構成するものではなかった。やはり、男は心と、肌を重ねる
時の感性なのだ。
その時、クラリスはまだかすかに、腰の奥底にくすぶっている火照りを感じた。そっと
美しい手の先をつつ、と下腹部を這わせ、序々に下へとつたっていった。
あの男が、クラリスを満足させられなかった証拠だった。今までの男なら、情事の後に
こうなることはなかった。
下腹部からさらに指が下がると、そこにはクラリスの栗色の陰りに包まれた蜜壷があっ
た。そこは、さっき情事が済んだにも関わらず、すでに女の甘い蜜で湿り出し、襞がうね
りはじめた。
人差指と、中指がつつ、と陰りの入口の桃の割れ目をつつ、となぞる。
「あっ!」
クラリスは小さく、かすれた声で喘いだ。そして、その亀裂の中へと指を少しづつ入れ
た。肉襞が指に絡んでくる。
「んんっ……」
そして、指をゆっくりと抽送して、時また指先が膣を優しくなぞる……。
「あああっ!」
クラリスはまだ見ぬ、新たな男を想い浮かべて、せつさそうに喘いだ。

その日の夜、ウィルはポートセルミの宿屋の一階のフロアーにある劇場兼酒場へ足を運
んだ。夜になると、劇場は海の男たちで一杯だった。男たちは、愛らしい踊り娘たちの華
麗な踊りと、旨い酒と御馳走が目当てで来ている。
舞台の回りには男たちが集まっていて、踊り娘たちの美しい踊りを見て、やんやと喝采
を上げている。
ウィルは若い娘たちの踊りを見て、頬を赤く染めた。踊り娘たちは、煽情的な薄い布を
まとっているだけだった。腰には前と後ろだけを隠している布と、太腿にはガーターやキ
ラキラと輝くストッキングなどの色っぽいアクセサリーを身につけている。
ウィルはここに来る前、オラクルベリーの町でイルマという年上の高級娼婦と初体験を
済ませたばかりであったが、まだ女性経験はその娼婦だけだったので、煽情的な踊り娘た
ちを見ていると、やはり見ていると頬と股間が熱くなってしまうのだった。
部屋に戻ったら、勃起して、堅くなったものを自分の手で鎮めないと駄目だな……とウ
ィルは思った。
イルマとの熱くて、甘い夜を経験して早一ヵ月が経っていたが、それいらい女の身体と
は無縁だった。船上の人になっていた時も、もっぱら自慰で済ませていた。
ともかく、自慰をすることは男として健全で、健康の証であるから、ウィルのような純
朴な青年であれば、逆に微笑ましくもあった。
ウィルが舞台へ目を向けたその時だった。舞台の前で踊っていた一人の若い踊り娘と、
彼の視線が合った。
踊り娘は小柄で、すらりとスレンダーな身体だったが、それらの煽情的な衣装を身につ
けているためか、女の艶やかさがにじみ出ていた。
踊り娘は視線が合うと、一瞬きょとんとして、しばらく視線を外さなかったが、明るい
笑顔を浮かべると、ウィルに向かってウィンクした。
踊り娘のさりげないアプローチにウィルは頬を赤くして、しばらく見つめた。彼女は栗
色の髪をポニーテイルに結い、腰をくねらせ、手をたゆらすだけでそれが揺れた。
目つきは猫のようにクリクリとした釣り目で、とても愛らしいと思った。歳からいけば
ウィルと同世代だろうか。
初めての女性であるイルマのむっと匂ってくるような女の色気と比べると、初々しい、
熟する前の青い果実のように見えた。
ウィルは、あの踊り娘のことが気になり出していた……。

舞台に立っていたクラリスは、一人ただずむウィルと視線が合い、身体中を何かが駆け
巡った。それは、身体の芯に雷が落ちたような感覚だった。腰の奥がかっと熱くなった。
身体を激しく動かしているせいもあって、身体全体が火照ってしまう……。
こうなると、もうクラリスは駄目だった。手が一瞬、滑らかな臍を伝って、腰巻きの中
へ導きそうになるのを、寸前で抑えた。
−−あの子……。
クラリスは、何とかしてウィルとコンタクトが取りたかった。昼間の中年男との情事は
永遠に忘れ去ってしまった。
そして、そっと誰にも気付かれないように、ウィンクを送った。ウィルは気付いたらし
く、頬を赤くして、クラリスを見つめた。
−−ふふふ……分かってくれたみたい……。
クラリスは今までの経験から、ウィルが自分の魅力の虜にしたことを悟った。
−−ちょっと頼りなさそうだけど……ま、いっか。
クラリスは呑気そうに思うと、きっちりと、海の男たちに存分に自分の魅力を踊りでア
ピールしたのだった。

踊り娘たちが舞台から下がって、劇場兼酒場が落ち着きを取り戻した後も、ウィルは一
人で、その場を立ち尽くしていた。クラリスに心を奪われてしまったのだ。
しかし、ウィルの場合はそこらにいるクラリスを崇拝する男たちとは少し違った。彼の
場合は、もっと彼女のことが知りたかった。どんな女の子なのだろうか……。
ウィルは無性に、あの踊り娘に会いたくなった。イルマや煽情的な踊り娘の踊りや衣装
を見て、腰が火照ってきていたこともある。クラリスの魅了術にすっかりとはまってしま
っていた。
楽屋に向かうと、途中でがっちりとした大男にぶつかりあった。
「おう、ここから先は関係者以外は立入禁止だ」
大男が言った。ウィルはたじろいた。やはり、見ず知らずの男と会ってくれるはずはな
かった。部屋に戻って、一人で身体の火照りを取り除くか、娼館のところで発散するしか
なかった。
ウィルが背を向けると、その時、声がかかった。
「あ、待って!」
ウィルが振り返る。そこには、さっきの踊り娘が立っていた。
「クラリスさん、そいつはお知り合いで?」
大男が戸惑うように言った。彼は踊り娘の楽屋に、彼女目当ての男が近づいてこれない
ように見張っているボディガードだった。
「ええそうよ。今さっき、知り合ったのよ」
「なんだ、そういうことだったんですか」
クラリスがととと、とウィルに近づいた。イルマと違って、かなり小柄な女だった。
「あなたの部屋に行きましょうか?」
「え?」
クラリスはウィルに有無を言わさず、腕を組んだ。大男はクラリスの男好きを知ってい
るらしく、半分飽きれた表情で青年と、ポートセルミ一の舞姫の背中を送った。

クラリスに誘われるまま、ウィルは自分の部屋へと案内した。部屋に入ると、クラリス
は背伸びをして、近くにあったベッドに座る。彼女はまだ、あの煽情的な踊り娘の服を身
につけていた。
「さっき、目が合ったわよね?」
クラリスから切り出した。
「覚えてる?」
「は、はい……」
ウィルの方は舞い上がり、胸の鼓動が高まっていた。まさか、向こうからきてくれると
は、思ってもみなかった。
しかも、ポートセルミでも一、二を争うほどの人気を誇る踊り娘なのだ。ウィルはその
ことを知らなかったが。
「名前は?」
「ウィルと言います。あなたは?」
「クラリスよ」
クラリスの声は鈴を鳴らしたような愛らしく、それに輪をかけて、色っぽかった。
「今日、とても素敵な出会いがあったわ。ふふふ、考えてみたら、わたしは素敵な男性と
出会うために踊りを続けているのかもね」
クラリスは微笑みながら言った。
「そ、そうなんですか?」
ウィルは戸惑いを感じながら言った。
「うふふ、そうよ」
ウィルは頬を赤く染めた。クラリスは色っぽい笑みを彼に向ける。その仕草一つに、女
の匂いがにじみ出ていた。
「あなた、可愛いわね」
「…………」
「隣に来なさいよ」
クラリスが諭すように言った。ウィルは頬を赤く染めたまま、ベッドに腰をかけた。彼
女はそっと、小柄な身体を大きな青年の身体にすり寄った。
「うふふ……あなたと、素敵な夜が過ごせそうだな……」
「クラリスさん……」
クラリスが含み笑いをしつつ、ウィルの逞しい身体に手を這わせる。
「気を楽にして……」
「はい……」
クラリスの手は、ウィルの胸を伝い、そのまま下がる。腹部を通って、さらに下へ。青
年は、その感触に身体の芯が疼き、ピクン! と反応させた。
細くて、しなやかな手が、ウィルの白い衣服をはらりとめくり、脚の中へ侵入した。服
の下は、トランクスしか履いてなかった。
クラリスの手は、ウィルの股間に達して、そしてトランクスをするりと降ろす。勢いよ
く、勃起して堅くなった男芯が飛び出して、皮がめくれた亀頭部が天を仰ぐ。
クラリスはまず、玉袋を優しく撫でた。
「うあっ!」
ウィルは顔をしかめた。クラリスは玉袋を下から掬うように、優しく撫でた。中指で玉
袋の筋をつつ、となぞる……。
クラリスは、男の愛撫の仕方をよく心得ていた。
「うふふ、ウィル……あなたからも……」
「は、はい……」
ウィルは言われるまま、戸惑いを感じつつ、クラリスの身体に触れた。まずは、彼女の
胸に触れて、踊り娘の服を脱がし、そっと、手のひらで包み込むように、クラリスの小柄
だが、形の美しい乳房を揉んだ。
「あっ……」
ウィルの手つきが、意外にも手慣れていたことに、クラリスは驚いた。
「んんっ……いいわ……手のひらで……ああっ」
クラリスは喘ぎ、身をよじった。
「もっと、乳首を……あうんっ……んっ」
クラリスは喘ぎつつも、ウィルの股間をまさぐる手は、ついに勃起して、堅くなった男
芯を撫で回す。
亀頭部をつつ、つつ、と指先で撫で、男芯を上下にしごきはじめた。

くちゅ、くちゅ、くちゅ……

男芯が湿り出して、上下にしごくと生々しい音を出しはじめた。突き上げるような昂ま
りに、ウィルは腰を浮かせた。
「あうっ!」
「んふっ……」
手の動きを止めると、クラリスはウィルの股間へ屈み込んだ。彼女の愛らしい唇が、彼
の怒張する亀頭部に近づく。
柔らかい唇が、亀頭部を包み込むと、ウィルの尻の穴が痙攣した。彼は腰から男芯にか
けての昂まりを必死に堪え、ガードルを履いたままの脚をピン! と伸ばす。
クラリスは唇で亀頭部を優しく撫でた。つつ、つつ……彼女の栗色の髪の毛が、ウィル
の奇麗な太腿や、赤黒い玉袋をちらちらと触れて、くすぐったかった。
女性経験が浅いウィルは、口でしてもらうだけでも満足だった。かすかに、ウィルはま
だ見ぬ、成長した幼馴染みのことを思い出した。
ビアンカ……ウィルの中では、彼女はまだ八歳の子供だった。今はどうしているのだろ
うか。十八歳になるはずだか、どんな女性に成長しているのか……。
ウィルは、ビアンカと出会いたいと思った。もし、ビアンカと出会えたら、彼女とも寝
ることができるのだろうか……。
そして、彼はまだ見ぬ、成長した幼馴染みの裸体を想像して、自慰に耽ったこともあっ
た。彼の中で想像された十八歳のビアンカ。それは、今まで出会った女たち、マリアやイ
ルマ、修道院の同世代の尼僧の少女たちを芯にした想像の産物ではあったが。
クラリスの愛撫は次の段階に入る。舌が大胆に蠢く。亀頭部の先端を、舌で包み込むよ
うに、飴玉を舐めるように、愛撫した。
ウィルは爪先を立たせて、両手をベッドに押しつけた。腰に突き上げるような感覚に襲
われる。
クラリスは男芯に鼻息を吹きかけつつ、ゆっくりと、味わうように舐め回す。股間に顔
を埋めながら、男なのに奇麗な脚だな、と思った。特に太腿は、白くてしなやかだ。
彼女の口の動きが変わった。前歯の先で、男芯をなぞりはじめた。腰の奥から、突き上
げるような昂まりが、ウィルを襲う。
そして、唇で男芯全体をしごく。くちゅ、くちゅ、と生々しい音がして、その動きが早
くなる。
「ううっ……」
ウィルはすでに限界に達した。頭がからっぽになって、男芯の先端がカッと熱くなる。
腰が射精の快感に震え、熱いものが男芯へ向かって奔走る。それは、痺れるような快感を
伴っていた。

どくっ、どくどくどくどくっ!

大きな痙攣とともに、先端からねっとりとした精液が噴き出す。
「う……」
クラリスは男芯を口から離した。射精で震えるウィルの男芯が勢いよく、彼女の頬を白
い精液で汚した。

ひくん、ひくん……。

若いだけあって、濃い精液だった。クラリスの顔は頬から唇にかけて、彼の白く濁った
粘液で汚れてしまった。
クラリスは舌舐めずりして、ウィルの精液を舐めた。精液独特の苦みと、若草のような
香りが、口の中に広がる。慣れないと、気持ち悪くなってしまう味覚だが、彼女は案外こ
の味が好きだった。男によって味がかすかに違う。
若い男だと、やはり味も匂いも濃厚で、こっちの方が好きだった。
「ふう……」
ウィルはひと息ついた。彼の太くて、大きな男芯は射精し終わって、萎れた。
「うふふ……元気いいわね」
「…………」
ウィルは頬を赤くした。
「にしても……奇麗な脚ね。女の子みたい」
「恥ずかしいですよ……」
クラリスはつつ、と顕になったウィルの太腿に手を這わせる。射精したばかりだという
のに、その白い太腿の間にある彼の男芯は、次の射精に向かって怒張しはじめた。
「あらあら、もう勃っちゃったの?」
クラリスが、布で顔についた精液を拭いながら言った。
「クラリスさんがぼくの太腿撫でたりするから……」
「いいじゃないの。うふ」
クラリスはウィルが愛らしくなって仕方なかった。
「それじゃ、まだまだいけるわね」
「はい……」
ウィルとクラリスはお互いに見つめ合う。出会ってから数時間しか経っていないのに、
二人の間に流れるものは、濃厚な男と女の、艶めかしい雰囲気だった。
そして、二人はそっと唇を重ねた。ウィルはクラリスの背中に手を回す。彼女から、舌
を絡ませてくる。
彼の舌をねぶり、二人の唾液が混じる。クラリスの手は股間に向かって伸び、勃起した
男芯を優しく握り、シコシコとしごく。
ウィルも負けずに、クラリスの背中を撫でまわし、序々にその手が彼女の前へ移る。二
人は唇を重ね、もつれ合うようにベッドに沈んだ。抱き合いながら、舌を絡ませお互いの
脚を絡ませ合う。
ウィルは履いていたブーツを脱ぐ。ガードルがはらりと解ける。そして、クラリスの光
沢のあるストッキングを履いた脚と、彼の白い素足が怪しく絡み合う。
クラリスはウィルの素足の感触に、腰の奥が熱くなった。ストッキング越しとはいえ、
その優しい感触は、とても心地好かった。
「んっ」
「はあ……はあ……」
二人は唇を離す。そして、ウィルが彼女の踊り娘の服を少しづつ、脱がしはじめた。胸
を被っていた装飾されたブラジャーを外すと、小振りながら、美しい形をした乳房がこぼ
れるように、前にはだける。
ウィルは胸に近づくと、貪るように豊かな女性の象徴に顔を埋め、頂点にある桜色の乳
首に唇を這わせた。
唇をつけ、吸ったり、舌の先でくりくりっと舐め回すと、クラリスの身体が敏感に反応
した。
「ああんっ!」
クラリスは鋭く喘ぎながら、ウィルが童貞ではなく、すでに女性経験を済ませているこ
とを知った。
童貞じゃなくて、少し残念だったが、それでも経験は浅いらしい。童貞の子とは一年前
に一度だけ、経験したことがあった。その男の子は劇場の楽屋で使いをしていた少年で、
クラリスが気紛れで、筆下ろしさせてあげたのだ。
童貞の男とのセックスは、相手がぎこちない分、とても新鮮に思えた。
ウィルの手が、つつ、とクラリスの細い腰を伝う。そして、下腹部、臍をなぞりつつ、
さらに下へと向かった。
クラリスは、ウィルの手を受け入れるために踊り娘の服の腰巻きを、取った。はらりと
赤く細い布が床に落ちて、隠されていた彼女の細い腰の奥が顕となる。
クラリスのそこは、その陰りがとても薄かった。ちらちらと産毛が生えている程度で、
ほとんど生えていなかった。
ウィルは手をそっと、敏感な三角洲へと近づかせた。外側から愛撫をはじめる。そして
男を受け入れるための亀裂の周囲を指でなぞる。
「あんっ! くすぐったいっ!」
クラリスは思わず口に出してしまった。こんな愛撫の仕方をする男性と接したのは、初
体験いらいだった。
ウィルは、少しづつ、人差指と中指を添えて、女の肉の花弁の中へ侵入した。指を挿入
すると、暖かい肉壁がきゅっと、絡みついてくる。
クラリスの腰が、挿入でかすかに震えた。熱い蜜が溢れ出る。腰から背中にかけて、熱
を帯び、軽い痺れを感じた。
「駄目……なんだか……もう我慢できないわ……」
クラリスの愛らしい、鈴を鳴らしたような声は、腰から伝わる熱く火照るような快感と
あいまって、とても艶やかに聞こえた。
「とっても、柔らかいです……」
ウィルが胸に顔を埋めながら、言った。
「ああ、あなたって、愛らしくて、どうにかしてしまいそう……」
クラリスは囁くように言った。ウィルもそろそろ限界だった。彼が上になると、力が抜
けたように横たわる彼女の身体にそっと、優しくのしかかった。
ウィルの逞しい身体と、彼女の細い身体が直接触れ合う。柔らかいクラリスの乳房と乳
首が、彼の広い胸板に押し潰されて、お互いの肌の感触と温もりが熱い快感となって、二
人に伝わる。
「ああっ」
「うっ」
ウィルは腰を動かし、堅く、怒張した男芯を手でしごきつつ、クラリスの熱くうねる蜜
壷へ導く。
クラリスは両腕を彼の身体に回し、股を広げる。ウィルは、腰を彼女の股に少しづつ、
埋めていく。
亀頭部が、彼女の肉の花弁に触れて、暖かく、優しく包み込んでいく。様々な男たちを
受け入れた肉襞は、大きくうねり、きゅっと締まる。
ウィルは、淫らな肉と肉が触れ合う感触に、思わず顔をしかめる。このまま二、三回腰
を動かしただけで、射精してしまいそうだった。
「じらさないで……いじわるぅ……」
クラリスが甘い声で抗議する。
「ごめんなさい……その、ぼく、まだそんなに女性と接したことがないから」
「でも、経験はしてるみたいね……」
クラリスがからかうように言った。
「ゆっくりと、楽しみましょ」
「はい、クラリスさん」
ウィルは、尻の穴に力を入れつつ、腰を沈めていく。男芯がクラリスの腟に挿入され、
沈む度に、襞がめくれ、そこから熱い蜜がしたたり落ちた。
「あううっ」
「うっ、ふっ」
クラリスの膣はとても締まりが良かった。何人もの男を知り、充分に開発されている。
貪欲に、男芯に絡みつき、優しく締めつけてくる。
ウィルは少しづつ、腰を動かし始めた。敏感な亀頭部の付け根を中心に、蜜で溢れた肉
襞が絡んだ。
クラリスは腰から昂まりを感じて、気分が高揚してきた。
「あっ、ああっ! ウィルッ……!」
クラリスは、ストッキングを履いたままの脚を、ウィルの腰に回した。ウィルも、腰か
ら伝わる突き上げるような感覚に任せたまま、腰を突く。

ずしゅっ! ずしゅ、ずしゅ……

クラリスは、ウィルと一つになれたこの時こそが、一番充実していると思った。あの太
りきった中年男とは違う、気分が高揚するセックス。彼女が求めていたのはこれだった。
踊りもセックスも、気分が高揚できなければ、する意味がなかった。
「あっ、あっ、あっ、あっ」
「うっ、ふうっ!」
ウィルは息を荒げつつ、腰を突き入れた。淫らな肉と蜜が音を立てている。男芯を蜜壷
の中へ沈め、突けばつくほど、クラリスの肉襞が絡みつき、腰を引く時のねばりつくよう
な感覚は、彼の腰から男芯にかけて伝わる快感と昂まりをさらに早める。
クラリスも、自分の中に堅くて太い男芯が挿入されて、どこかに吹き飛ばされてしまい
そうな快感に全身をしならせ、ウィルの逞しい身体や腰にしがみついて、耐えた。
そして、クラリスの膣は必要以上に彼の男芯をきゅきゅっ! と締めつけ、序々に愛液
が少なくなってくる。
ウィルも、腰の動きが早くなる。
「あっ、ああっ、あああっ」
「うっ」
クラリスは気分が高揚すると同時に、腰から突き上げるような敏感な快感に耐えられな
くなり、ストッキングを履いたままの爪先が、ピンッ! と伸びた。
「あ、あっ、いいっ! いくのぉ!」
「うあっ!」
二人の昂まりは、ほぼ同時に頂点へ達していった。頂上まで、二人は腰を動かして、男
芯を突き入れていく……。
そして、ウィルがクラリスの蜜壷に最後のひと突きを加えた時、彼の亀頭部が、蜜壷の
奥まで達した時、限界を迎えた。
クラリスは脚をぎゅっ! と力を入れ、ウィルの腰に絡め、爪先がプルプルと震える。

どくんっ! どぴゅっ! どぴゅっ! どぴゅっ!

ウィルの尻の穴と、腰全体が射精の痙攣で大きく震える。クラリスの膣の奥へと、濃厚
な精液を放出した。
クラリスも同時に頂点に達して、腰がプルプルと震え、肉襞が大きく痙攣した。その震
えは貪欲な食虫植物のように、男芯に絡みつき、熱い精液を搾り取る。

ひくんっ! ひくひくんっ!

二人はお互いの快感に打ち震えた。このまま、どこかに飛んでしまいたい……このまま
どこまでも、この快感に溺れてしまいたいと思った。
ウィルはあまりの快感に、大便を漏らしてしまったような奇妙な感覚に陥ってしまう。
実際にそんなことはなかったが、イルマ以来、女に触れていなかったこともあって、快感
を伴った痙攣は、長い間、続いた。
クラリスはまるで、性に目覚めて、はじめての自慰と、女の快感を経験した時にも似た
新鮮な感覚に溺れた。
二人の腰は震え、射精が終わると、ウィルは疲れ果てて、クラリスの上に倒れ込んだ。
「はあ……はあ……」
「はふん……」
二人は、しばらく溜め息しか出なかった。
「クラリスさん……」
「ウィル……」
やっとのことで快感の痺れが引くと、ウィルはクラリスの上から退いた。
「良かったわ。なんだか、新鮮だった……」
クラリスの顔は、とてもすっきりしたように見えた。
「ぼくも、です。久しぶりでした……」
「うふふ、よかったね」
クラリスは、これほどの男と経験したのはじめてのことだった。中年男のねちっこい愛
撫や、玄人男の経験だけの行為とは比べ物にならない。
「ねえ、ウィルって、何してるの?」
しばらくして、クラリスが不意に聞いてきた。
「ぼくは、旅をしてます」
「ふうん。どんな旅なの? 聞かせてくれない?」
ウィルは一瞬ためらった。
「話したくなければいいわよ。気、悪くした?」
「そんなことはないです」
ウィルは簡単に、今までのことを話した。そして、幼い時に別れたままになった幼馴染
みを探す旅をしていることも。
本当は、父パパスの仇と、父が探している伝説の勇者とその武具を探すのが真の旅の目
的ではあったが、それを話すと込み入ってしまうので、他人に話す時はいつも幼馴染みを
探す旅をしている、と説明していた。
もろちん、その幼馴染みを探したいと思っている。嘘ではなかった。
「あら……その娘のこと、もしかして好きなの?」
クラリスが鋭く聞いた。
「……はい」
ウィルが照れた。
「でも、もう十年も前のことだから、どこにいるのも分からないし、ぼくのことを覚えて
いるかどうかも分からないんです」
「そっか……」
クラリスは、呟くように言った。心の奥底で、ウィルがすでに意中の人がいたことを残
念がった。
「見つかるかどうか、分からないけど……」
「大丈夫よ。きっと、見つかるわ。そのビアンカって娘」
「…………」
ウィルは黙り込んだ。クラリスは続けた。
「ウィル、旅をしてくうちに、いろんな人と出会うだろうし、その娘と出会うまでに、他
の魅力的な女性との出会いもあると思うわ」
「はい」
「幼馴染みの娘と再会できた時に、彼女が魅力的に感じる男性になってね。もっと恋愛し
て、女性経験も積んで、身も心も磨くのよ」
「そうですね……」
「うふふ……それじゃあ、このクラリス様が、ウィルの女性経験のために人肌脱ぐとしま
すか」
「え?」
ウィルがきょとんとする。
「さ、もう一度しましょ」
「クラリス……さん……?」
ウィルが顔全体を赤くして、目の前の踊り娘を見つめた。
「いいんですか?」
「いいわよ。あなたはいつまでここにいるの?」
「しばらく、いろいろと情報を集めますから……」
「なら、出発するまであたしと暮らしなさい」
「えっ? そんな、悪いですよ」
「いいの。その代わり、毎晩、わたしの恋愛とセックスの手ほどきをさせてあげる。それ
でおあいこね」
と言って、クラリスはウィルの腰に自分の腰を押しつけ、萎れていた男芯を優しく、し
ごきはじめる。
「クラリスさん……あうぅっ」
「ほら、もうこんなに元気がいいんだから……」
クラリスはからかうように笑みを浮かべ、しなやかな手で、ウィルの堅い男芯をシコシ
コとしごく。
「く、クラリスさんっ!」
ウィルは我慢できなくなり、がばっと、クラリスの身体にしがみつく。
「あんっ、ウィル……」
ウィルはさっそく、腰を突き入れはじめた。二人は頂上に向かって、再び昂まりはじめ
ていくのだった。

おわり



戻る