麦畑

 見渡す限りの麦畑。
「もーいーかい?」
「もーいーよ・・・」
 二人の子供が、かくれんぼをしている。十歳くらいの少年と少女だ。
「まいー、どこだー?」
 鬼になった少年が、少女を探している。しかし、背の高い麦の中に隠れてしまったので、なかなか見つかりそうにない。
 ・・・見つかりやすいようにウサギの耳あげたのに・・・意味ねーっ!
 そのころ、麦の穂の中に隠れた少女は・・・。
 ・・・うう・・・どうしよ・・・おしっこ・・・したい・・・
 波のように襲ってくる尿意に耐えていた。
 ・・・トイレは・・・近くにはないし・・・だったらここで・・・・・・だめ・・・ゆういちに見つかったら・・・
 そのとき、爆発するように尿意が高まった。
「ん・・・んああっ!」
 少女はスカートの上から、出口を押さえ付ける。少しちびってしまったが、それでも耐えた。
「ああ・・・ああっ・・・ううっ・・んんっ!」
 再びちびってしまった。じっとりと下着が濡れているのがわかる。
「ん・・・んはあ・・・も、もう・・・だめ・・・」
 その時、麦の穂をかき分けて少年が現れた。
「まい、見ーっ・・・」
「あっ・・・あああっ!」
 じょろ・・・じょろじょろじょろじょろ・・・
「まい・・・」
 スカートを押さえながら失禁している少女を目の当たりにした少年は、固まったように動けなくなった。
「あ、あああ・・・止まって・・・止まってえ・・・」
 どうがんばっても、流れ出したおしっこは止まってはくれない。弧を描くように脚を伝わり、靴下に染み込んでいく。
「・・・・・・」
 じょろろろろ・・・
 染み込みきれなかったおしっこは、少女の足下に水たまりを作っていった。
「あああ・・・」
 ブルッと震えて、ようやく少女のおしっこは止まった。
「・・・ご・・・ごめんなさい・・・ゆういち・・・うええ・・・」
 少女は泣き出してしまった。
「ぐすっ・・・ぐすっ・・・・・・?」
 ふと見ると、少年はズボンを脱いでいた。
「・・・ゆういち?」
 何も言わず、少年はパンツも脱いだ。
「使えよ」
 下半身裸のまま、脱いだパンツを差し出した。
「・・・?」
「濡れたパンツじゃ気持ち悪いだろ?」
「でも・・・ゆういち・・・」
「オレはズボンだからノーパンだって平気だよ。でも、まいはスカートだろ?」
「あ・・・ありがと・・・」
 少女は持っていたハンカチで足をふいた後、濡れたパンツを脱ぎ、少年のパンツを履いた。
 ・・・ゆういちの・・・パンツ・・・
 男物のパンツは、なんだか変な感触だった。
 ・・・何だろう・・・このドキドキした感じは・・・何だか・・・ゆういちが・・・わたしのお尻を・・・さわってるみたい・・・
 少女は、不思議な胸の高鳴りを感じていた。
「そのパンツ、どっかで洗っていかないとな」
 少年は、少女が右手に握っている汚れたパンツを見て言った。白地にウサギの絵がプリントされたパンツだった。黄色く染まっている股の部分から、雫がまだ垂れている。
「・・・!」
 頬を染めて、少女はポケットに汚れたパンツを突っ込んだ。
「さ、帰ろうか」
「うん・・・」
 二人はしっかり手を繋いだまま、麦畑のあぜ道を歩いていった。
「うっ・・・ズボンで・・・こすれて・・・」
 その部分に伝わってくるごわごわした感触に、少年は身をよじらせていた。
「ごめんね・・・ゆういち・・・」
「いいんだって・・・まい・・・」
 少女の付けたウサギの耳が、静かに風に揺れていた。

 そして時は流れ・・・
「祐一・・・あのときのパンツ返す・・・ちゃんと洗ったから・・・」
「ばか!いらん!」
 祐一と、パンツを右手に持った舞が追いかけっこをしていた。
「ちゃんと洗ったから・・・」
「だからって人前で、それも直で渡す奴があるか!袋に入れるくらいしろよ!!」
「ちょっとーっ、祐一さんのパンツで追いかけっこですかー?佐祐理も混ぜてくださいよー!」



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