グランバニア小噺

これは昔のお話です。今となってはどこにあるのか存じませんが
有る所にグランバニアという国がありました。この国の人々はそれはもう
心根が優しく、懐に聳える山脈に抱かれるようにどんな事にも
諦めない性格の方が多かったのでそれはもう訪れる旅人達は
安心して生活を送ることが出来ました。

この国は昔魔王という者が世界を支配しようとした時
先になって戦った勇者の一族が王様を務めていました。
このお話はそんな勇者たちの活躍のお話ではありません。
戦いの物語は語り部か、吟遊詩人の人達に任せておけば
いいのです。これはちょっとしたお話、そうこの王族のある夫婦に
ついてのお話です。そうですね、このお二人のお名前をあげておかないと
失礼ですね。
夫の名前はシオンと申します。まあどこにでもいる普通の少年と言いますか
ちょっと暗いところはありますが優しい方ですね。ボンヤリ、と言いますか
黙ってしまう所がありますが憎めない性格の持ち主です。
妻のほうはこれまた珍しい事にどっかの良家のお嬢さんときましたが
花嫁修行で教会のシスターをしておりましたので
本当に貧乏性があると言うか、優しい方でシオンと同い年のフローラという
少女でした。
この二人がどういう組み合わせか知りませんがどこかの町で
一目ボレをしてしまい結婚したのですが夫のほうが何と
どこかの皇子様だったというからあっという間に王様、王妃様と
言われるようになってしまいました。

二人は色々な困難を経てやっと王国を盛り上げていこうとしますが
さてはてどうなりますことやら・・・・・・・。

魔王がすでに勇者によって討伐され世界に平和が戻りました。人々は
笑い、酒を酌み交わし魔王の圧政に強いられていた魔物達も解放されて
嬉しそうに人々に混ざって踊り明かしておりました。
シオンとフローラは子供達を寝かますと二人だけの私室へ向かいました。
明日からは二人も政治に参加することがオジロンに言われておりましたので
寝坊は出来ないと思いパーティーもそこそこに眠る事にしたのです。
それでも身体は18歳のままです。二人とも抱きしめてあげることも
出来なかったのでシオンはフローラをおもっきり抱きしめてあげました。
「あっ・・・・・・・」ガラスのように抱きしめたら砕けてしまいそうな身体から
ため息とも艶かしい息が漏れました。
「シオンさん・・・・・・・」フローラもシオンの背中に手を伸ばします。
「フローラ・・・・・・・・・」シオンはゆっくりとキスを交わしました。今まで
子供達がいる手前何も出来なかったので今夜こそは、と思い
思う存分抱きしめてあげたいと思ったのです。

シオンはフローラにそっとキスを交わす。
「はあはあ・・・・・気持ちいいです・・・・こうしているなんて・・・・・・」
フローラはシスターですのでこうした体験はあまりありません。
それでも二人ともお互い慣れない手付きでも一生懸命愛し合い
子をもうけたのですから手順なんていらないのです。
そしてゆっくりとキスから離れます。お互いの口には舌を使って
いたのでしょう、唾液の橋ができていました。
そして涙目で目を潤ませたフローラはシオンともう一回キスを交わしました。
「シオンさん・・・・・・・愛しています」
「・・・・・・・・・・・・僕だって・・・・・・・・」

二人はゆっくりと服を脱ぎました。そしてシャワーを浴びてくるとベッドに潜りこみ
ました。何枚もの毛皮や毛布に包まるとちょうど暖かくなりました。
それでもシオンはフローラの頬に手を当てています。フローラの頬が赤くなり
お互いの瞳が潤んでいきます。
「・・・・・・・・・・・・・終わったね・・・・・・」
「本当に・・・・・・お疲れ様でした」二人ともニコッと笑いました。
「フローラ・・・・・・・・」ベッドの中、フローラとシオンはゆっくりと抱き合い
ました。
「いつも・・・・こうしていたいな・・・・・・」
「私も・・・・・・・だって暖かいんだもの・・・・・」二人は近くにあった蝋燭や
ランプを消すと
そのまま夜の明るさに身を任せていました。
「フローラ・・・・・・・・・」
「きゃっ・・・・・・・・・・・」シオンはキスを交わしながらゆっくりと秘所のほ
うに手を
伸ばしました。
「駄目・・・・もうシオンったら・・・・・」フローラの手がシオンを止めようとし
ましたが
キスで恍惚になっているフローラは抵抗もせずシオンに任せていました。
「・・・・・・・・・・・・・・濡れているね・・・・・・」
「あん・・・・・・・だってシオンに抱かれていると思うとそれだけで嬉しく
て・・・・・」
シオンは恍惚としているフローラの秘所を何度も摩り、指で弄び
二つの双丘の先端にある突起を齧り、舐めてはその都度離れない
ようにキスを交わしました。
「あふっ・・・・・・・・・・・体が熱い・・・です・・・・・」
「僕も・・・・・・・そろそろいくよ・・・・・・」
シオンはフローラの上になるとそのまま暗闇の中フローラの秘所に
シオンのを突きたてました。二人の汗が混じり月の光に反射しています。
そして淫水が滴るような音がしてフローラの中にシオンのがゆっくりと
奥まで、フローラの気持ちを優しく受けとめながらシオンは
挿入していきました。

「あふうううううう・・・・・・・・・・・・・・・・あうっ、ああ
あ・・・・・・・・・・・」
「くう・・・・・・・・・・・・・・あああ・・・・・・・・・・・」二人とも動く
事に感極まったのか
涙を浮かべています。
「駄目、駄目、駄目・・・・・・頭の中に貴方が入ってきて真っ白に
なっていきます・・・・・駄目ええええ・・・・・・・・・・・」
「僕だって・・・・・・・フローラが・・・・・君が・・・・・・・・・」
それだけ二人は想い合っていたと言う事でしょう、愛を重ね
身体を重ねている二人には何も言わなくても伝わっていたのでしょう。
そして・・・・・フローラの身体がビクンと跳ねるとシオンも
涙を浮かべて妻の中に注ぎこみました。
「あふううううううううう・・・・・・・たくさん、たくさん・・・・入ってきま
す・・・
暖かい・・・・・・・・・・・」
「フローラ・・・・・・・・・・僕は・・・・・・・・」
「シオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「フローラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」お互いの手が交互
に絡み合い
ギュッと強く握り締めました。

「お休み・・・・・・・・」
「はい・・・・・・・・・・」二人はそのままの姿勢で抱き合っていました。
お互いの性器からは水音のような音がし、強く抱きしめています。
しばらくフローラは喘いでいましたがシオンのが奥まで入っていると安心したのか
くうくうと眠りはじめました。
二人が深い眠りに落ちていくのにそれほど時間はかかりませんでした。
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」フローラとシオンは
抱き合ったまま眠りに落ちていきました。

「あああ・・・・・・・・・・あふ。」フローラは寝ている時少し喘ぎ声を出しまし
た。
少し腰を浮かしてシオンの肉棒を出しました。それでもフローラは
まどろんでいましたが暗闇の中何事も無く微笑むと
そのままジュクと音を立てて肉棒が見えなくなるぐらいに
挿入しました。すると睡魔が襲いかかったのでフローラは
お互いを強く抱きしめ毛皮、毛布に包まると暗闇へと落ちていきました。

そして朝を迎えました。グランバニアの朝は早いです。山人達は山羊の乳を搾り
薪を割り、町からは新鮮なパンの薫り、香ばしいベーコンの匂いが
満ち溢れてきました。そして町からは官吏達や国を守る将軍、大臣達が
グランバニアのお城へ登城していきます。

コンコン。

女官の一人が二人の部屋をノックしました。
「王様、王妃様おはようございます。政務のお時間でございます」女官はそう言って
部屋に入りました。でもすぐに顔を赤らめて部屋を出て行きます。
そして・・・・・しばらくして女官はもう一回部屋に入りました。
「王様、王妃様!!何をしておられるのですか!!」女官は二人をゆすって起こしま
した。
「う、う〜ん・・・・・まだ眠いよ・・・・」シオンの呟きにシオンの胸に抱かれる
ように寝ていた
フローラも甘え声を出しました。
女官は少し顔を背けながら二人に話しかけます。
「でも・・・・・・・・・・今日から政務をなさると聞いておりますが構わないので
すか?」
「せいむ〜〜〜〜〜面倒くさいから・・・・・」
シオンの言葉にフローラも涙を溜めながら首を横に振ります。
「イヤです」

女官はそれを聞いて思わず怒鳴っていました。王様、王妃様の面目
はありません。
「駄目です!!」二人はしょうがなく起きました。

玉座の間では・・・・・・・・左右に別れた文官や武官らが勢揃いしております。
そこにはオジロンだけでなくサンチョも並んでいます。二人の子供達も
今か今かと待っています。
でもいつまで経っても二人は来ません。不安になったサンチョは子供達に
聞くことにしました。
「一体どうしたのですか、お二人は?」
「さあ・・・・・僕達が起こそうとした時には起きなかったよ」無邪気に笑う皇子と

正反対に皇女はクスクスと笑っています。
「どうしたのですか?何かご存知なのですか?」
「えっ・・・・だって二人で『いい事』していたからそれで遅くなっているんじゃな
いかな」
『いい事』という意味が分かったのかサンチョは顔を赤らめています。
そうしているうちに大臣からも文句が出始めました。サンチョとオジロンが
彼を宥めている間にラッパが鳴り、正装に着替えた二人が入ってきました。
「やっと来たよ」皇子の言葉もそこそこに二人は玉座に座ろうとしますが
どうやら二人とも緊張しているのか中々座ろうとしません。

「どうしたのですか、王様、王妃様・・・・ささっ、こちらに」オジロンが催促した
ので
ようやく二人は玉座にこしかけました。
そして二人の目の前で政務が始まりました。でも二人は何も出来ません。
それはそうですよ、だって二人ともそうした政治と言う物に程遠い生活を
送っていたのですから。
ただ見ているだけです。そうした政務はオジロンがやる事に
していました。別に何か企んでいる、と言うわけではありません。二人が
あまりに未熟だからこうしたことは実際勉強していった方がいいと
思ったからです。オジロンのやり方を見て勉強しなさい、と言っているのです。

二人の目の前で官吏の方々が話し合い、国防や予算などの報告を
していきます。シオンとフローラはすでに固まっています。何が何やら
さっぱり分からないのですがオジロンはそんな二人を試す意味で
一番どうでも良い問題を二人に任せていました。

「えっと・・・えっと・・・・その、あの・・・えっと・・・・あの・・・・・・」
いきなり振られた形になってしまったフローラは首を横に振りますが
別に断っているのではありません。分からなくてパニックになっているのです。
その証拠にフローラ王妃のティアラがキラキラ光っています。
フローラが左右に首を振り目に涙が溜まるのでティアラが光を
ばら撒いているように見えるのです。
「フローラ様はその問題に対しては駄目だと仰っている。そのようにせよ」
オジロンが助け船を出しました。
「えっ・・・・・えっ・・・・・・・・・・・・」
「ではそのように致します」大臣が頭を下げました。

シオンも慣れない手付きで用意されたテーブルを使い
羽根ペンでサインしていきます。でも用意された皮用紙
に書いた自分のサインが震えています。別に下手と言うわけでは
ありません。二人とも字は書けます。でも緊張して字が書けないのです。

そうしている内にお昼休みになりました。仕事が終わった者達は揃って
玉座の部屋を後にしていきます。オジロンと子供達、サンチョと
二人は部屋に残りました。
「ごめん・・・・・・・・・・」シオンとフローラは謝りましたがサンチョは首を横
に振りました。
「上出来ですよ、坊ちゃん、フローラさん」
フローラとシオンはモジモジしています。
どうなるでしょう・・・・・・。
(続く)

(2)
王妃フローラの言葉にみな振り向きました。
「私、私・・・・・この服・・・似合いますか・・・・・・・」
申し訳なさそうに言うフローラにオジロンは必死に宥めました。
「王妃様、とてもよくお似合いですよ。さすがグランバニア王妃。そうでないと」
「えっ・・・えっ・・・・・だって私シスター・・・・・・」
「そういう事は関係ありません。第一貴方様は・・・・・」
オジロンはそこまで言ってフローラの表情に気がつきました。そうフローラは
目に涙を溜め必死に堪えていたのです。
「わ、私・・・そ、そんなに・・え、えらく・・・あ、ありま・・ありません・・・・・」
必死に言葉を紡ぐフローラにサンチョだけでなく子供達も宥めます。
「坊ちゃん、奥様が・・・・」サンチョは夫であるシオンを見ましたがシオンは
必死にサインの練習をしていたのです。
「えっ・・・こうでしょ・・・えっ・・・・・・と・・・・・・・・」
その都度羽根ペンが震えカタカタ音を立てて書類に何か書きこんでいます。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」子供達だけでなくオジロン、サンチョまでもが黙って
しまいました。
「王様!!」3人の声がハモりました。その叱責の声にシオンはビクッと
しましたが、フローラも慌てて頭を下げてしまいました。
「あっ、ご、ごめんなさい・・えっ・・・えっ・・・・グスッ・・・・わ、私が・・・・
だから・・・グズグズしていたから・・・・・えっ・・・・・えっと・・・
その・・・あのごめんなさい・・・・・・・・」
涙混じりにフローラが頭を下げています。オジロン、サンチョ、皇子は
真っ白になっていました。

「あーっ・・・・」シオンの声がしました。サンチョが駈け寄ります。
「どうしたのですか、坊ちゃん!!」
「ごめん・・・サンチョ。インクが服に着いちゃって・・・・・・ああ・・・滲んで
しまって・・・・」サンチョはシオンが指差す所を見るとそこには
黒い染みが滲み出ていました。
「坊ちゃん・・・・・・・・・・・・」

「あ、洗って・・・その・・・あの・・・・だから・・・つまり・・・・こ、これ・・・幾らに
なるの・・・・だから・・・・・・・・・えっと・・・・・・・働いて・・・その
返すから・・・・・・・・」
「わ、私も・・・働きます・・・えっと・・・パン作りなら・・得意ですし・・・・
ほ、ほら・・教会でシスターしていましたから・・・・・・子供あやすのなら
得意ですし・・・・・・・・・・」
ここまで来ると王様、王妃様の威厳も何もありません。むしろ貧乏性が
服着て歩いているようなものです。
「ねえ・・・・父様、母様・・・・・・・・・・貧乏性もそこまでいくと立派よ。
第一・・・服はやってくれるから・・それにこの服は正装だから
多少汚しても大丈夫だよ」皇女が笑いながら答えました。
皇女はシオンとフローラの友人のビアンカさんという女性に
憧れていましたので言い方や考え方を真似しようと
していたのです。
「そ、そうなの・・・だったら・・・」
シオンが申し訳なさそうに言うので3人は笑みを浮かべています。
フローラは、というとどうして良いのか分からないのか、ただ涙を浮かべている
だけです。でもシオンがギュッと手を握ると頬を赤らめ幸せそうな笑みを浮かべて
います。
「そ、それで・・・まず僕は何をしたらいいのかな?」シオンは恐る恐るオジロンに
訊ねました。
「そ、そうです。だったら私だって王妃、という所を見せてあげないと」フローラも
小さく拳を作っています。
「ふぁいと・・・」フローラは小さく呟きましたがその声を聞いていたオジロンは
プッと噴出してしまいました。
「えっ・・・えっ・・・・えっと・・・・・私・・・何か・・・・・」
「えっ・・いやいや・・・・そんなに力こめなくてもいいのですよ」
「でも・・・・ふぁいと、ですから」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」一体何がふぁいと、なのか知りませんが
そこにいた人達は噴出しています。

そしてシオンはオジロンから山のような書類を受け取りました。
もちろん読みなさい、という事なのですがシオンは
ただ呆然としているだけです。フローラも手伝っていますが
中々終わりません。
そうしているうちにシオンとフローラに眠気が襲いかかってきました。
まあ朝からこんな書類の仕事をしていればどっかで休みたい、って
思いますよね。
シオンが手にしている羽根ペンがフラフラと乱れます。フローラも
必死に生あくびを押し潰すあまり目に涙を溜めています。
ただコクン、コクン、とフローラの視界が上下に動きます。
「寝ていていいよ」誰もいない部屋で転寝をしていたフローラに
シオンは優しく話しかけます。
「・・・・・・・・・・でも、ふぁいと、ですから・・・・・」力無く
握りこぶしを作っても誰も納得していません。すぐに
転寝というか、首がカクン、カクンと動きます。ティアラの輝きも
上下に動きます。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」シオンは半分書類に目を通したあとトントンと
書類を整理し、席を立ちました。隣のフローラはすでに
夢の中にいます。シオンは優しく零れ日が差しこむ中彼女に
先ほどのマントをフローラにかけてあげました。
そして窓から港、グランバニアの城下町を見ています。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」シオンはただ見ているだけです。
そのシオンの目は優しく、ふう、と息をつくとゆっくりと伸びをしました。
空は青く、その青さはどこまでもシオンを連れて行ってくれる
ようです。

清く花びらは舞い、風は薫風となって辺りに花を舞い散らせ、
港からの潮風に乗ってグランバニア地方に春を齎せようと
しています。
妖精族の長ポワンがまるで春風のフルートを吹いているようです。

「すうすう・・・・・・・・・・・・・・シオン・・・・・大好き・・・・愛して・・・・・・」
フローラの声がしたのでシオンは慌てて振り向きました。
でもフローラはスヤスヤ可愛い寝息をたてて寝ています。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」何か言ったような気がしてシオンは
辺りを覗いました。でも誰もいないのでシオンは書類に目を
戻しました。
どうやら寝言だったようです。シオンはクスッと笑うと
フローラの隣に座りました。フローラはクウクウと寝息をたてて
シオンに身体を預けるようにまどろんでいます。
「どんな夢を見ているのかな・・・・・・・・・」シオンは風で乱れたフローラの髪を
優しく直してあげました。
そしてシオンはしばらく書類に目を通していましたがフローラの寝言に次第に
愚痴が混ざってきました。
「フローラ・・・疲れているのかな・・・・・・」
でも良く聞いて見ますとそれは彼女が修道院にいた時の事でしたので
思わず噴出してしまいました。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・嫌いですう・・・・・・・・・・修道院長・・・・・・・・・・・・」
「修道院長・・・・・・・・・・」シオンは何も言えません。
「うううう・・・・・・・・・・・・・・・・・・嫌いよう・・・・・・・・ですよう・・・・・・・・・・」
「何があったんだ・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マリアさん・・・・・・・・・お花のリングって・・・・・
どうやって作るの・・・・・・・・・・キャッ・・・・・・・・・・・パンが
真っ黒・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・怒らないで・・・修道院長・・・・・・・・」
「色々な夢見ているんだ・・・・・・フローラ・・・・・・」シオンは優しく
フローラの手を握りました。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シオンさん・・・・大好きです・・・・・ずっと
一緒に・・・・・いてくれ・・・・すう・・・・・・・・・・」
そう言ってフローラの髪がシオンの肩に触れました。そしてフローラの
髪の、そう香水を散りばめたような花の微かな香りのする髪がシオンの鼻を
擽りました。
優しい薫りの髪にシオンは真っ赤になっています。フローラはシオンに身体を
預けながらスウスウと可愛い寝息を立てています。
シオンは固まって頬を赤らめています。さてさて・・・どうしたものかな、シオン君。
(続く)

(3)
そして昼休みが終わり、色々な人がシオン達の所にやって来ました。
それはもう色々な人々が来ました。例えば旅をしている商人や
大儲けを考えて旅を続けている初老の商人、または南方にいて肌の色の
違う人、様々な人が王夫妻の所に謁見に来ました。
そうした人にオジロンとサンチョは礼を伝えます。
勿論皇子達も同様にしています。でもシオン達はどう接していいのか
分からず玉座に座ったまま固まっています。
そんな二人はオジロンはそっと耳打ちをします。
(ささっ、お二人さん、そんなに緊張しなくていいから。方膝をついている者達は
シオンの玉顔を望んでおられるのだ、礼を伝え労いなさい。)
「えっ・・・・・・・・・と。そのあの・・・えっと・・・・・・」
シオンは何とかセリフを言おうとしたのですが中々言葉が出ません。
それでも何とかシオンは礼を言いました。フローラはすでに真っ白と言いますか、
すでに固まって緊張しています。
「お疲れ様です」フローラの声に皆キョトンとした表情を浮かべています。
慌ててオジロンがフローラに耳打ちします。
(フローラ王妃、こうした目下の者には何もそんなに謙って言う事では無いのですよ。
ご苦労様です、でいいのですよ)
(でも・・・・・・私は・・・・・そのシスターですし)オジロンの言葉を聞きながら
フローラはクスクス笑みを浮かべています。
(でもオジロン様、私なりにやらせてもらえませんか。いえ、そんなに大層な物では
ありませんので・・・・・)
(そうですか・・・・・でも困ったら私の方を見てください)
(はい)心配そうなオジロンに笑みで返すと跪いている商人達に
フローラは話しかけました。
「私のお父様も立派な商人でした。私はそのお父様を誇りに思い
こうしてグランバニアに嫁いで来ましても私は夫とお父様の事が愛して
います。だから私にとってこうして貴方方が来てくださった事
本当に有り難く思います。だからゆっくりとくつろいで
旅の疲れを取って下さい」
フローラはそれだけ言うと真っ赤になってしまいました。
「あ、あの・・・・変ですか?」フローラは静まり返った部屋で一人
真っ赤になり固まっています。
それはそうですよ、元々フローラは修道院でシスターとして
生活していたのですからこんなに人が沢山いて
目の前の人達は皆跪いているのですから
そうそう慣れるとは思えません。
でも・・・・・・・・・・・フローラが静けさに堪え切れず何か言おうとした
瞬間、商人達からは嬉しそうな言葉が聞こえてきました。
「えっ、えっ・・・・・・」

「さすがはあのサラボナの白薔薇と謳われたフローラ様じゃ。こんな
我々にもちゃんとお答え下さる。ここまで来たかいが有ったと言うもの。
良かった、良かった」初老の商人がうんうんと頷きます。
そして色々な者がシオンやフローラに話しかけては帰っていきます。

「そうそう、王様こんな場所があるのですがご存知ですか?」
「陛下は最北の地にこういう動物が生息しております・・・・云々」
眼鏡をだらしなくかけている商人が目の前で身振り手振り自分が遭遇した
海の怪物の討伐伝をシオンとフローラに一心不乱に話したかと
思えば南国の珍しい果物を持参してきた日に焼けた大型船の船長も
来ました。
シオンはその都度もっと詳しく話を聞きたいと思ったのですが
話を聞こうとするとすぐにオジロンが相手の労を労い
金銀を渡して帰らせてしまいます。
「あの・・・・叔父上・・・・?」シオンはたまりかねてオジロンに訊ねました。
「聞きたい事は分かっておる。もっと聞きたいのに、て思っておるのだろう?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「もう・・・・わし等を置いていかないでくれ・・・・。お主たちがこの険峻の地に
戻ってくるのに10年以上かかっておる・・・。
お主たちから見れば普段の生活なんて退屈な事なのかもしれないが
わし等から見れば普段の生活があるから・・・そんな当たり前の生活が出来る
事こそが本当に幸せな事ではないかと思うのだ・・・・だから・・・・・・・・」
オジロンはそっとハンカチで目を押さえました。
「オジロン叔父上・・・・・・・・・」
シオンとフローラはしんみりとなってしまいましたが本当は違います。

これだけ心に訴えておけばシオンとフローラは似たような性格だから
きっと相手の事を考えていてくれるだろうと思っていたのです。
まあオジロンも年季が入っていますからね、若造のシオンやフローラを
言い方は悪いですが騙すなんて簡単な事ですから。サンチョは
片隅でクスクス笑っています。
たぶん入れ知恵をしたのはサンチョですね、きっと。

(4)
しばらくして食堂で軽食を取ることにしました。と言うのも
やっぱり疲れるからです。こういう仕事は眠気と
空腹感がどうしても出ます。
「ふう」フローラはテーブルに置かれたサンドイッチを見て
ため息をつきました。
「お母様どうしたの?」皇女が覗き込むように話し掛けました。
「えっ、ううん・・・何でもないです。あはっ、ご飯でしたわね、ごめんなさい」
慌ててサンドイッチに噛り付くフローラでしたがすぐにため息を
つくとサンドイッチを元に戻してしまいました。
「どうしたの?フローラ」シオンも心配そうに訊ねます。
「あっ・・・ううん」
「そう?熱でもあるの」シオンの手がフローラの額に優しく当てました。
ドキッ。
フローラの顔があっという間に赤くなって緊張して固まってしまいました。
「お母さま、どうしたの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「お母様・・・・・・・・・・・・?」皇女が心配そうな顔をしています。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちょっと席を外します」フローラは
そう言ってそそくさと部屋を出て行きました。
「心配だな・・・・僕も行こうかな」シオンも席を立とうとしましたが
皇女に止められました。
「もう・・・・・・・・デリカシーが無いんだから。お父様、お母様は
ボソボソ・・・・・」
「うん?」
(おトイレだよ)皇女はそっと耳打ちしました。
「あっ、そうか。あはははは・・・・・・・・」
「はあ」皇女はため息をつきました。

フローラは個室のトイレまで来ると誰もいれないようにしました。
そう朝慌てていたのでフローラは「あの後」の処理を忘れていたのです。
そこでティッシュで押し込めたのですが下着が濡れてきてしまい何とか
時間を作ったのです。
「ううん・・・・・・・・・・はあ・・・・・・・・・・もうグッショリ・・・・・・・・・・
感じちゃって・・・・・・うふふふ・・・・・・・・・・・」
フローラは長めのスカートの端を口で咥えて下着を脱ぐと
股の間から見えるティッシュを指で取り除きました。
すでにティッシュはすでにグッショリとなっていて
フローラはそれでも溢れてくるシオンの精液を指で
抑えていました。
「・・・・・・・・・・・・・・・駄目・・・・・・・・・でも・・・・・・
嬉しいな・・・・・・・・・・こうして愛してくれているんですもの・・・・
でも何とかしないと」
フローラは代わりのティッシュを取り出すとそのまままた押し込めました。
「でも・・・・・・・・・・シオンさんの顔が見れません・・・・・・
だって・・・・あの人に触られると、キスされると・・・・嬉しくて・・・・・・でも
お腹の中が暖かくなって・・・・・・・・・・ジンジンと
してきて・・・・それで一緒にいたくて・・・キャッ・・・・・私
何言っているんでしょう・・・・・・・・・・・恥ずかしい・・・・でも
嬉しくて・・・・・・・・・・ボソボソ・・・・・キャ・・・また
出てきた・・・・・そう言えばそうでしたわ・・・・昨日から数えて・・・・・
それでシオンさんったらもう・・・・もう一回だって・・・・・
それで赤ちゃん頑張って作ろうって・・・・・・わあ・・・・・・私・・・私・・・・
それって・・・・・私とシオンの赤ちゃん・・・・・・・わあああ・・・・・・・
きゃああああ・・・・・・・・・ふぁいと、ですわ・・・・・・・・・・うふふ・・・でも
嬉しいな・・・・・・・・私の中に・・・・・・・・・・シオンさんのが・・・・・
あっ・・・・・・・・また・・・・・・溢れちゃった・・・・・・・・もう・・・・
そう言えば・・・・昨日ったらシオンさんたら・・・・私の・・・・・・・
うふふ・・・・・・・あっ・・・・・・・もう・・シオンさんったら・・・もう
駄目ですってば・・・・・・ああ・・・・・・・・もう・・・・・・・・・
ああ、もうそんな所触らないでくださ〜い・・・ああ・・・もう
駄目ですってばあ・・・もう・・・知らないですう・・・ああ・・・・・」
頬を赤らめてあちこちの物にペチペチと可愛い手で打つのはいいのですが
今それをしている場合じゃないと思うのですが・・・・・それに下着下ろしたままで。
フローラさん・・・・・・早くしないと皆さん待っていますよ。

「遅いな・・・・・・・・・・・」
「一体どうしたんだろう・・・・・・何かあったのだろうか。それとも
また攫われたのだろうか・・・・・・まさかな」
玉座がある部屋では家臣達とシオンが待っています。でも
フローラが来ないのでどうしたのか心配になっているのです。
そんな事とは露知らず、フローラは個室で悶えていました。
「きゃっ、シオンさんたらもう・・・・・嫌ですう・・・・・・・きゃっ・・・・・・・・
もう・・・・・・・知らない・・・・・・・でも・・・・・嬉しい・・・・・・・・きゃっ・・・・・・・
私の中に・・・・・・・・・・ああ・・・・・・・・でも嬉しい・・・・・・・・ああ・・・・・・
きゃっ・・・・・・・・・・・・・・・
そ、それですね、ああ・・・・もうシオンさん意地悪ですう・・・・ああ・・もう
・・・・・・・キャッ、そんな所・・・・触らないで・・・クスッ・・もう
・・・・・・・・・・嬉しいです・・・・・・」
フローラさんの心の中ではシオン君が何か彼女に
悪戯でもしているんですかね。

それに身悶えながら一人で何かしていますとアブナイ宗教
でもやっているんじゃないかと思われますよ、フローラさん。
それでもフローラは顔を赤らめてソワソワしています。それはまるで
初恋の男性に会ったかのような雰囲気でした。
手はモジモジしていてまるで落ち着きがありません。
フローラはシオンに抱かれる度にますますシオンを好きになっていくのでした。
「きゃあ・・・・・シオンさん・・・・・大好きです・・・・・・・愛しています・・・・・・
もう・・・・・・・・・ああ・・・・・・・・・」
しばらくしてフローラは正気に返りました。でもすぐに・・・・・・
「あら・・・・・・・・・・嫌です、私ったら・・・・・・ああ・・・・・そうでしたあ・・・・・・
もう・・・シオンさんをお待たせしているんでした・・・・
ごめんなさい・・・シオンさん・・・あっ、でも・・・
シオンさんになら・・・ちょっと悪戯してもいいかな・・・うふふふ・・・
あはっ、でもシオンさん・・・・・昨日は激しかったです・・・
もう・・・駄目ですったらあ・・・・・・私の顎にそっと手をかけて
ゆっくりと私の服を一枚一枚脱がして・・・・・ああ・・・もう駄目・・・ですう・・・
それで・・・ああ・・・もうキスなんて・・・キスなんて・・・・・・
それで耳元でそっと息を吹きかけながら・・・・きゃあ・・・
赤ちゃん・・・頑張ろう・・・って・・・・きゃあ・・・・・もう・・・
知らないですう・・・・・・きゃあああ・・・・・・・」
何か妄想の中にいるようです。
そして悶える事40分後・・・・・・
「はあ・・・・・・・・・私何やっているんでしょう・・・・・・・・・」
意気消沈したままフローラは慌てて身支度すると部屋を出て行きました。

「遅れてごめんなさい・・・・・・」フローラは慌てて頭を下げ玉座に戻りました。
「どうなさったのですか?」オジロンが心配そうに訊ねてきます。
「あっ、いえ・・・その・・・・・・・・あの・・・・・・・・」
頬を赤らめていますがさすがにあの事の処理だとは言えません。
「まさか・・・・・あの邪教の者達が・・・?」
「いや残党らがいるのかもしれんな」
近臣達や官吏たちが騒ぎ始めました。皆フローラ王妃が攫われた事を
思い出しているのです。本当に皆さん国の為に思っているのですね。
でも一人だけ言い出せない人がいました。
そうフローラ王妃です。まさかあの後の処理で個室のトイレに行っていたとは
言えません。
「シオン王、残党らがいるやもしれぬ。子供たちや女や老人達の夜間の外出は
控えたほうが良いかもしれないな」オジロンが余計なことを言うものですから
シオンも頷きました。
「あ、あの・・・・・シオンさん・・・その・・・あなた・・・・・・・・・そのあの・・・・・」
「フローラも気をつけるんだよ、それからもし何かあったら兵士達を
呼ぶんだよ」シオンはフローラさんに言います。と言っても
二人で並んで座っているので目の前にフローラさんの顔があります。
フローラさんは耳元で甘いあの雰囲気を思い出していました。
「えっ・・・・・・その・・・・・・・・・・・・・・・はい」
フローラさんはシオン君の綺麗な瞳に見惚れて思わず頷いてしまいました。



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